営業職とはどんな仕事内容?多様な営業職の種類と向き・不向きを解説します

営業職にはどんなイメージがありますか? 炎天下の中をスーツを着て外回りをするイメージでしょうか?

実は営業といっても本当にさまざまなタイプのものがあります。基本的には社内にいる営業も実は結構います。

自分はITの営業経験が長いですが、いわゆるクールなものではなく、研修がてら飛び込み営業や新規のテレアポなどもだいぶ経験しました。

ここでは営業職といったときに、どのような仕事を指すのか、それぞれの向き・不向きまでを解説します。

営業とは? ほかの仕事との違い

営業とはものすごくシンプルに言うと、モノやサービスを売ることです。

同じ営業であっても誰に、どんなモノを、どうやって売るかが大きく異なります。

トマトを駅前で販売するのと、ITソリューションを大企業に販売するのは大きな違いがあるでしょう。

販売・コンサル・マーケティング・など営業に近い仕事がいくつかあるので、簡単にそれぞれの違いを説明します。

販売・接客と営業の違い

スーパーやアパレルの店員が来たお客さんに対して接客するのを営業ということはあまりありません。

営業は顧客に積極的に働きかけ、こちらからアプローチをするものに使われ、接客はどちらかというと顧客を待っていて、来た人に対応するイメージです。

こちらからアプローチをするか、相手からアプローチされるかというのがおもな違いです。自動販売機といいますが、自動営業機とは言わないかと思います。

営業もインバウンド営業といって相手からの引き合いがあったものに答えるパターンもあり、こちらの場合には販売に近くなります。

コンサルティングと営業の違い

営業ではコンサルティング営業という言葉が使われることがあります。

コンサルティングとは、企業などの課題を解決する手助けをすることです。consult(意見を聞く、助言を求める) + ing から来ています。 

これは、実態としてはかっこよさそうだからというだけの理由で使われていることも多いです。

ただ、本質的には決められたものを売るだけではなく、相手の要望や相手がまだ気づいていない課題やニーズを営業活動を通して、解決する手法のことです。

ただ、ひたすら電話をかけて、決められたトークスクリプトに沿って話すだけでは、積極的な販売に近いです。

相手に会社の課題や個人的な懸念を聞き出して、それにぴったりの解決策としてモノやサービスを提供できるとコンサルティングの側面を持った、コンサルティング営業といえます。

若干ややこしいのは、経営コンサルティングという職業もあります。経営者や会社のリーダーなどに経営的なアドバイスを行うものです。

彼らもコンサルティングというサービスを大企業に営業します。

マーケティングとの違い

マーケティングと営業の境目はどんどん難しくなっています。大きく分けると、マーケティングは売れる仕組みを作ることで、営業は売ることです。

テレビのCMやアプリやサイトでのバナー広告はマーケティングに入り、営業と呼ばれることはありません。

不特定多数にアプローチするものがマーケティングで、特定の人にアプローチするのは営業だと考えてもいいでしょう。

営業の種類の考え方

営業はモノやサービスを売ることなので、ここでは、誰に、何を、どうやって売るのかという3つの軸でそれぞれ見ていきます。

  • 誰に(顧客)
  • 何を(モノ・サービス)
  • どうやって(手法)

誰に売るのか?(顧客でわける)

顧客の種類

売る相手はこまかく分ければいくつでもありますが、その性質から3つに分けて考えます。

  1. 個人
  2. 法人(中小企業)
  3. 法人(大企業)

個人はわかるかと思います。2つ目の中小企業はいわゆるドラマで出てくるような町工場や八百屋のようなものをイメージしてください。

3つ目は大企業で、大きなビルで何万人も働いているような会社です。ナショナルクライアント(日本全国に展開している企業)と呼ばれたりもします。

この3つにきれいに分かれるというよりはグラデーションのようなイメージです。

顧客ごとの特徴・ポイント

自分はこのすべてを経験しましたが、個人のほうが感情が重要で、法人のほうが論理(ロジック)が重要になります。

個人は、感情や雰囲気で意思決定することが多いですが、会社では収益性やコストの試算、社内での説得材料が重要になります。

とくに大企業であれば、担当者の一存では決められません。特別なコネがあって、上層部に話を通す場合には別ですが、いくら担当者との関係性があっても合理性がないものは難しいです。

必要であれば、社内のキーパーソンにコンタクトを取ったり、社内で稟議が通る(買っていいですよとなる)ようにデータや資料を提供することもあります。

逆にいうと、経済条件が合えばどの会社でも通りやすいです。

1つ目と2つ目(個人・中小企業)は限られた人たちでものごとが決まります。

大企業よりも非合理的な意思決定がされることもあります。

これは正直、相手によります。感情的なコミュニケーションを好む人もいれば、雰囲気や関係性重視の人もいます。

個人の場合には、奥さんや旦那さんがいる場合にはその人も関わりますが、基本的には営業相手の判断が需要です。

MRという特殊な営業

営業は生命保険の個人向けの営業なども特殊ですが、その中でも圧倒的に特殊なMRと呼ばれる営業職があります。

それはMR(Medical Representatives)と呼ばれる製薬会社の営業部門です。医療関係者(要は医者)向けに自社の商品を販売する営業です。

資格や専門知識も必要で、営業方法もドクターの空き時間になんとか会ってもらうもので顧客も商品も売り方もかなり特殊です。

待遇がそこそこよく、専門もある点は魅力的なのですが、MR以外の仕事に応用するのは難しいため、キャリアが限定される点は注意が必要です。

顧客ごとの営業イメージと営業職の例

営業イメージ

広告営業でイメージすると、こんな感じです。

個人:「○○さん、半端ないのが出ました! これは絶対買ったほうがいいです。めっちゃ売上上がりますよ!」

中小企業:「○○さん、新しい広告が出まして、これで売上は結構上がりそうです。具体的には、〇〇%ほどの売上増が期待できます」

大企業:「○○様、弊社の新しい広告をご紹介させていただきたいのですが、弊社の試算によりますと、こちらの広告を活用することで、〇〇%程度の売上増が期待できます。」

相手によって実際のやり取りは大きく変わりますが、なんとなくイメージを持ってもらえると嬉しいです。

営業職の例

具体的な職業で見るとこのようなものです。みなさんが外回りしているスーツ姿でイメージする人はだいたい2つ目の中小企業向けの営業です。

個人:保険、自動車、不動産の営業など

中小企業:求人、広告(チラシ、オンラインなど)、IT機器の営業など

大企業:広告代理店、SE(システムインテグレーター)など

営業する顧客ごとの向き・不向き

個人や中小企業のほうが多様なので、いわゆるコミュ力が高い人は向いています。誰とでもうまくやれたり、ほかの人の話をちゃんと聞ける人は個人営業向きです。

中小企業は、あくまで事業なので収益性も大事なのですが、意外と関係性も重要です。足を運んで相手の会社に行ったり、定期的に連絡を取ったりして喜ばれたりもします。

大企業は、提案がしっかりしている必要があります。ある程度、論理的でマナーや話し方もしっかりしている感じのほうがうまくいきます。

まとめると、このようになります。

顧客ごとに向いている人

  • 個人:人当たりのいい人で、誰とでもコミュニケーションを取れる
  • 中小企業:人当たりのいい人で、論理的に提案ができる
  • 大企業:話し方やマナーがしっかりしている人で、論理的に提案ができる

どれもあまり変わらないと思っている人もいるかもしれませんが、同じ営業でも相手次第で大きく変わります。

自分の知り合いでも法人向けの営業でイマイチだった人が、相当厳しいとされている個人向けの保険営業でうまくいって驚いたこともあります。

同様に、大企業向けが非常に得意な人でも中小企業ではあまり成果が上げられなかった例も見ました。向き・不向きは顧客の影響もかなり大きいです。

何を売るのか?(商品でわける)

営業する商品の種類

商品はカスタマイズ性で変わります。

  1. 定型(有形材)
  2. 非定型(無形財)

カスタマイズして売るのか、そのまま売るのかというのは大きな違いです。

もっともわかりやすいのはモノが決まっていて、買い切り型のものです。決まった商品を売るだけであれば、相手の要望に近いものを選ぶだけです。

浄水器やプリンターの営業などはわかりやすく定型の営業です。保険の契約や携帯電話の契約などはプランもオプションもさまざまなので、やや難易度が上がります。

人材の求人広告営業やオンライン広告の営業は非定型の要素が強くなります。ほかにも、複雑なものはITソリューションやコンサルティングなどカスタマイズが前提とされているものがあります。

最近では、M&Aや事業承継のサービスなども増えていますが、こうした営業では、本当の意味でのコンサルティング営業が必要となります。

営業する商品ごとの特徴・ポイント

定型のものほど単純作業に近くなり、量をこなしていくのが重要です。非定型のものは、闇雲に量をこなしても難しいです。

定型的な営業

前者の典型的な例はプリンターの飛び込み営業です。テンションを落とさずに無心で飛び込み続けることが重要です。

エリアだったり、対象顧客だったり、工夫の余地はあると思われる方もいるかもしれません。このような営業を行う会社ではだいたいそういったものは決められています。

結果的には確率勝負になるので、行動量が圧倒的に重要となります。

たとえば、「すいません」といって声を掛けるよりも、「おはようございます」や「こんにちは」といったほうがコンバージョンが上がるみたいなものはありましたが、そのレベルです。

セールストークは続ければだいたい改善するので、正直そこまで差はつきません。この領域のトップセールスはだいたい行動量も半端じゃないです。

非定型的な営業

非定型のものは、もう少し戦略的にやる必要があります。カスタマイズしなくてはいけないようなものは、量産型のものよりも値段が上がります。

値段が上がると、顧客は絞られます。自然とある程度の規模の企業が多くなるので、経済的なメリットを含めて論理的に説明する必要があります。

ターゲットとなる顧客を選定したり、その顧客を誰かから紹介してもらったり、提案資料を作ったり、追加の情報を提供したりとプロセスも複雑になります。

自分の人脈や提案能力、相手に合わせる柔軟性などが重要となります。

営業する顧客ごとのイメージと営業職の例

営業イメージ

両極端な例をご紹介します。

定型:ひたすらビルを回って、「おはようございます! 弊社は〇〇という会社で、ご挨拶にお伺いしました。△△についてご紹介させていただきたく…」

非定型:メールなどで「○○様からご紹介いただいた〇〇と申します。御社の○○についてご提案させていただければと思い、ご連絡いたしました。」

営業する顧客ごとの営業職の例

定型:コピー機・プリンターの営業、メーカー、自動車の営業

非定型:保険・求人・広告・コンサルティングの営業、アライアンスの営業

営業商品ごとの向き・不向き

定型商材は、元気・メンタル・行動力です。やるとわかりますが、断られ続けながらも、ひたすら飛び込み営業をしたり、テレアポをしたりするのは非常に大変です。

定型商材の営業マンの人は、ガチャ切り(電話後すぐに切られること)に対して、「すいません、切れちゃったみたいでして!」と元気よく言えるくらいの強さが欲しいです。

非定型商材は、戦略・柔軟性・人脈が重要です。個人相手か法人相手かなどでも変わりますし、非定型の商材でも同じようなものばかりを売っている場合には、定型よりになります。

まとめるとこのようになります。

商品ごとに向いている人

  • 定型:元気・メンタル・行動力
  • 非定型:戦略・柔軟性・人脈

どうやって売るのか?(手法)

営業手法の種類

手法は本当に多岐にわたりますが、典型的なパターンのもので分類してみます。

新規開拓営業

1. 訪問営業・飛び込み営業
2. 電話営業
3. 人脈営業
4. インバウンド営業

既存顧客向け営業

5. 既存顧客への営業

最初の3つは、いわゆるアウトバウンド(こちらから積極的にコンタクトを取るもの)の営業です。

対する4つ目のインバウンドの営業は、WEBサイトからの問い合わせや電話連絡などで相手からの問い合わせがあったものに対応する営業です。

前者をプッシュ型、後者をプル型などと呼ぶこともあります。

ここまでが新規顧客に対する営業ですが、既存顧客向けの営業もあります。

営業手法ごとの特徴・ポイント

訪問営業・飛び込み営業

気合いがもっとも重要です。元気に飛び込み続けられるか、限られた裁量の中で少しの工夫ができるかというところです。

また、こうした会社は通常、プレッシャーが非常に大きいため、それに耐えられるかというのは非常に重要です。

電話営業

訪問や飛び込みにも近いです。

元気に電話をし続けられるか、直接会うときに比べて声のトーンや言い回しがさらに重要になります。

また、プレッシャーもすごいケースが多いので、それに耐えられるのかは同じように大事です。

人脈営業

個人の保険営業や法人向けのコンサルティングの営業などは人脈からつながっていく方法がメインです。

どちらの場合でも、もともとの人脈はもちろんとして、イベントに積極的に参加・主催したり、新しい人と食事をしたりして継続的に人脈を増やせる仕組みを作っています。

インバウンド営業

反響営業やプル型の営業とも呼ばれます。

商材によっても違いますが、工夫の余地が少ないと、カスタマーサポート(最近ではカスタマーサクセスと呼ばれたり)にも近くなり、工夫の余地が大きいとコンサルティング型に近くなります。

職種でもこうした問い合わせがあったものに対してアプローチをしていくインバウンドセールス(内勤営業)というものがあり、少しずつ知名度が上がっています。

飛び込み・押しうりのイメージや成功確率がどんどん悪くなっているため、トレンドとしては増えています。

いわゆるゴリゴリの営業ではなく、どちらかというと専門的な知識や相手に合ったものを提案していく要素が大きいです。

既存顧客向けの営業

売り切りではない商品で発生する営業です。ルートセールスなどが有名です。

スーパーなどを外回りして自社の商品をいい位置においてもらったり、より多く仕入れてもらったりするようなものです。

広告営業や求人営業でそれまでの実績や、将来的な売上などにひもづけながら提案することもあります。

名前は営業ですが、新規向けと比べると社交性やコミュニケーションだけではなく、提案力や改善力が重要になってきます。

営業手法ごとの営業職の例

営業手法は業界によっても、会社によって異なりますが、その業界における典型的な営業方法があるので、そこでまとめます。

  1. 訪問・飛び込み営業:英会話、不動産など
  2. 電話営業:求人、広告など
  3. 人脈営業:保険、コンサルティングなど
  4. インバウンド営業:病院、WEBサービスなど
  5. 既存顧客への営業:メーカー、MR、プラットフォームなど

営業手法ごとの向き・不向き

ざっとまとめるとこのようになります。

いわゆる皆さんのイメージする営業は最初のほうのものかと思いますが、インバウンドや既存向けはかなり違う事がわかるかと思います。

営業手法ごとに向いている人

  1. 訪問・飛び込み営業:気合い・元気・行動力
  2. 電話営業:気合い・元気・行動力
  3. 人脈営業:人脈・行動力
  4. インバウンド営業:知識・ヒアリング・論理性・提案力
  5. 既存顧客への営業:知識・ヒアリング・論理性・提案力

営業としての生き方を考える

同じ営業職でもここで見たように大きな違いがあります。対象の顧客・商品・手法が変わったことで大きく成果を上げるようになった人もいます。

自分の場合には新規営業は好きではありませんし、結果もイマイチでしたが、インバウンドの営業や既存顧客の営業は好きで結果も出ました。

あなたがすでに営業職の場合には、ここでの知識を踏まえて、あなたに向いている営業を探したり、自分のキャリアを考えてみてください。

営業職に興味がある方は自分に合った営業を考えてみましょう。

営業は未経験でも入りやすいですが、間違った会社に入ってしまうとスキルや経験が身につかない可能性もあります。

営業のキャリアのイメージ

ちなみに、営業職のキャリアのポイントは年齢によってこのようなイメージです。

20代

  • 営業職の中で自分に合ったものを見つけるもの
  • 経験やスキルが積み上がるものを見つける

30代

  • マネジメント経験
  • 事業立ち上げ経験

40代

  • ブランディング
  • 人脈

20代に自分の活躍できる場所を見つけて、実績を作ることがポイントです。結果を出して、リーダーやマネージャーになりましょう。

30代でチームで結果を出したり、新規事業の立ち上げをしたりと自分1人での営業から脱却することがポイントです。

40代にはそれまでに築いた評判や人脈で行きていけるようになることです。名前で生きていける状態です。

20代にはどんな営業でも力になりやすいかもしれませんが、新卒の人と同じような仕事を30代も40代もやっているとピンチです。(結構いますが)

転職をする人もしない人も

営業のいいところは、営業のいない会社はほとんどないということです。

GoogleやFacebookのような非常にインターネット的に見える会社でも、広告営業がいます。

求人を選び過ぎなければ、キャリアのどの段階でも転職は難しくありません。

問題なのはここまで見たように同じ営業でも範囲が非常に広いということです。

また、油断するとブラック企業も結構あります。

自分の前に所属した会社でも半年で半分ほど退職した実績があったこともあり、他人事ではありません。(規模的には数十人)

転職を考える人は、リクナビNEXTなどの転職サイトを活用してもいいですが、ちゃんと調べないとそういった会社に当たる可能性もあります。

個人的におすすめなのは転職エージェントを活用することです。

とくに大手のエージェントであれば、そういった危ない会社は避けられる可能性が上がります。

また、あなたがいますぐに転職を考えていない場合でも、登録してエージェントと相談することはメリットが多いです。

それはシンプルに営業は求人も多いので、紹介してもらえるということもありますが、あなたが自分の市場価値を理解できるという点も重要です。

営業職の人にとってのリスクは営業の求人がないことではなく、誰にでもできる営業の仕事にしか就けなくなることです。

あなたの会社での価値と市場価値がずれていることはよくあります。

こうしたものが長期的には問題になりますし、それがわかる頃には手遅れなこともあります。

キャリアの選択肢は若いほど多いのが基本です。これは経験のある・なしとは関係ありません。

下にいくつか、間違いのないエージェントを紹介します。担当者によってサポートも違いますし、あなたとの相性もあります。

いくつか登録をして相談したうえで、気の合うエージェントの人と転職活動を進めていきましょう。

営業は時代に合わせて大きく変わってきています。あなたの適性を見ながらよりよい営業のキャリアを歩んでいきましょう。

さらに知っておきたいこと

ここでは、営業職の仕事について見てきました。

一言で営業といってもかなり差があることを理解いただけたかと思います。

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