自分はキャリアの大半で営業職やそれに近い職種を経験しました。
とくに、はじめのほうは頑張って成果を出せば、上がると思っていました。
最初はパフォーマンスもイマイチだったのですが、徐々に上がっていき、数百人の営業の中でもかなりいい成績を取りました。
ある分野では過去最高のギネス記録を達成したので、昇給を楽しみにしていましたが、人事考課で上がった給料は2千円でした。
そして、ボーナスはむしろ下がりました。営業全体と部署の数字がよくなかったからです。このときに自分の成果だけで給料を上げられないことがわかりました。
このときの経験から、ただ頑張るだけで活路を開こうとするのは、非常に危険だということを理解しました。
ここでは、年収を上げる方法だけではなく、営業という職種の生き方(キャリア)も解説していきます。
目次
給料・年収は何によって決まるのか?
給料や年収を決めるのは利益
あなたの給料や年収は何によって決まるかわかりますか?
あなたの給料は会社が払っています。そして、その会社に対してはあなたがモノ・サービスを販売する顧客がお金を払っています。
つまり、あなたの給料は基本的に、顧客からもらったお金から払われているわけです。(厳密には負債や株式による調達の可能性もありますが…)
では、あなたが営業利益(売上-営業費用)で月に2千万円を売ったときと、月に5百万円売ったときは、どちらのほうが給料をもらえそうでしょうか?
2千万円売ったほうがもらえそうだとわかるかと思います。そうすると、あなたの頑張り次第で変わりそうだと思われるかもしれません。
ただ、ここに2つほど落とし穴があります。それは両方とも会社に関わることです。
- 利益は社内間よりも社内と社外のほうが差が大きいこと
- 分配は会社により仕組みも制度も異なること
そもそも利益は会社で決まる
1つ目は、たとえば同じものを販売するのもリアルな店舗がある会社とオンラインで完結する会社では、利益率が大きく異なります。
前者の会社で最高の成績を収めても、後者の会社と比べると全然利益が少ないという会社もありえるでしょう。
あなたの能力に関係なく、利益率の高い業界・商品・会社であるといったものがそもそも大きく利益に影響します。
利益の分配も会社で決まる
2つ目は、その利益の分配を会社内でどのようにしているかという問題があります。
そもそも仕組みが優秀で、誰でも売れる商品であれば、営業に高い給料を払う必要がありません。また、営業が低い給料でも一生懸命働く場合には、高くする必要はありません。
あなたの年収が決まる要因
まとめると、このような要素があなたの給料に影響します。
- 業界の利益率
- あなたの会社の利益率
- あなたの会社の営業に対する分配率(要は給与水準)
- 分配の偏り(年功序列とか、新卒・中途とか)
- あなたの成果水準とその認識
つまり、あなたの業界が儲かっているか、あなたの会社が儲かっているのか、営業に対して高い給料が払われているのか、過度に年功序列だったり、新卒や中途優遇だったりしないか、あなたの成果は高いか、それがちゃんと理解されているかということで決まります。
そもそも儲かっていなければ分配するものがありませんし、日本ではインセンティブの額や割合が低い会社も多いです。
平均の給与が高くても新卒は上がりにくかったり、中途は上がらなかったり、若いうちはどれだけ頑張っても上がらないという会社もよくあります。
一定数の営業がいる場合には圧倒的に抜きん出るのは難しいでしょう。そこで、十分にイケていると認識されるのも重要です。
大きければ大きい会社ほど仕組みがしっかりしています。成果を上げる人でも90点と91点の勝負のような状況はよくあります。後は、アピール力や政治力で決まります。(これもいわば営業力ですが)
ここでお伝えしたいのは、成果を上げたり、そのために努力をしたりすることが無駄だということではありません。
このように多くの要因がある中で、成果を上げることだけを頑張っても給料を上げるのは難しいということです。
この前提でどのように給料を上げていくかを見ていきます。
給料を上げる3つの方法
あなたの状況によって選択肢がいくつかあります。それぞれを詳しく見ていきます。
- 今の会社で営業職を続ける
- 今の会社で副業をして稼ぐ
- 別の会社に転職をする
今の会社で営業職をする
先ほど営業職の落とし穴について見ていきましたが、自分の会社では頑張れば報われそうだという人もいると思います。
そういう会社は経験上、なかなか珍しいと思うので、その場合には強い不満があったりしなければ、続けるのをお勧めします。
特殊すぎる営業は注意
注意が必要なのは、特殊な営業をするような場合です。たとえば、MR(医者向け営業)のような仕事は非常に特殊な知識や営業手法のものなので、年齢が上がっていくと他業界に移るハードルが上がります。
年齢は注意
一般的には、年齢は上がるほど、転職回数が増えるほど、1社あたり在籍期間が短くなるほど転職は不利になります。
今の会社で働き続ける場合には、時間軸を含めて考えたほうがいいでしょう。マネジメント経験なしで30歳、ありで35歳あたりが1つの目安です。
副業をして稼ぐ
今の会社にいたまま、追加で副業をして稼ぐ方法もあります。副業やフリーランスの働き方はデザイナーやエンジニアが多いですが、営業向けのサービスもできてきています。
たとえば、Saleshubというサービスでは営業のフリーランス業務のマッチングを行っています。
副業NGの会社が多い
残念ながら副業を禁止している会社は非常に多いです。とくに、昔ながらの日系企業のほとんどは副業禁止になっています。
統計によって異なりますが、全体の2~3割の会社しか副業は認められていないようです。
NGの会社で副業をやった場合に、いきなり解雇という例はほとんどないかと思いますが、辞めるように言われたり、辞めなかった場合に処分を受ける可能性はあります。
この点は、政府の副業後押しの流れで変わっていくかと思いますが、現状はまだ注意が必要なようです。
転職をする
今の会社で給料を上げるのは難しそう、副業が禁止されている場合には、転職も選択肢となります。
転職はうまくやれば、ベースの収入を上げられる可能性もありますし、成果を上げれば給料が上がる環境や副業OKの場所を選択できるかもしれません。
ここで、またポイントがいくつかあります。
ネガティブになる要因
まず、転職においてネガティブになりやすい要素がいくつかあります。
- 年齢が高い
- 転職回数が多い
- 在籍期間が短い
- 結果を出していない
年齢は35歳以上、転職回数は3~4回、在籍期間は1社平均で3年未満だと一般論としてネガティブになりやすいです。
外資、IT、ベンチャーだとそこまで形式的な要件は気にされませんが、日本的な企業ほど注意が必要です。
結果を出していないというのは、営業では致命的ですが、ここが実は一番、対策しやすいです。
営業は多くの要素が数字で出るので、一定の期間・商材・エリアや実数、伸び率などあらゆる要素で見ると、1つくらいアピールできそうなものがあるはずなので、それを使いましょう。
ポジティブになる要因
- 実績がある
- 汎用性の高いスキル、経験がある
- マネジメント経験がある
ポジティブな要素はあなたが実績を残していて、それが応募先の会社でも通用することが予想される場合です。
プラスでマネジメント経験などプラスαの要素もあるとなおいいでしょう。
求人の探し方
ここまで見てきたように会社がもっとも重要です。では、その会社はどのように探すといいのでしょうか?
ここは非常に重要なので、営業にとっていい会社の見分け方・探し方に関して詳しく説明します。
営業職にとっていい会社を見つける
一般的な会社の探し方というと、転職サイトを調べたり、普段から気になっている会社や人から聞いた会社を見てみるような方法ではありませんか?
これが悪いわけではありませんが、有名な企業が待遇がいいとは限らないですし、転職サイトではいい情報しか出てきません。
ここでは、2つほど必ず活用したいサービスをご紹介します。
口コミサイトで探す
1つは口コミサイトです。すでに使っているという方もいるかもしれません。
ここ数年で口コミサイトは劇的に進化しました。口コミ数も増えて、あらゆる企業を網羅していますし、その結果としてあらゆる情報の精度が上がりました。
どのサイトでも年収の情報も見れます。口コミによる評価のランキングなどもあり、社員側からの意見がわかります。
転職サイトなどで調べた会社の評判を確かめるのにも役立ちますし、ここで調べたうえで、直接応募したり、転職サイトに探しに行くような方法もありです。
とくに、口コミサイトごとに違いはあまりないので、どれでもいいでしょう。口コミを投稿すると、どれも無料で使えます。
転職エージェントに相談する
求人探しに関しては、転職エージェントも必須です。
彼らは、マッチングをすることで収入を得ているので、そもそもあなたに内定可能性がなさそうなところは紹介しません。あなたの要望に合った求人で、あなたが内定しそうな会社を紹介してくれます。
また、彼らは転職のプロなので、求人を探す以外のメリットも非常に多いです。僕は3回転職していますが、そのすべてで転職エージェントに相談しています。
その理由はこのようなメリットがあるからです。
- 転職の進め方のアドバイスがもらえる
- 自分の市場価値・アピールポイントがわかる
- 該当業界・業種の求人状況がわかる
- 自分の希望に合った求人を代わりに探してくれる
- 行きたい会社に内定する可能性がわかる
- 応募したい会社の評判がわかる
- 書類や面接の対策方法がわかる
転職サイトでも、口コミサイトでも、ほかのサービスでも提供していないようなさまざまなメリットがあります。
そもそも転職は多い人でも数回程度で慣れている人も少ないですし、アドバイスを受けられることもあまりないでしょう。
選考で落とされた会社から理由を説明されたことはありますか?
転職エージェント経由ですと、落ちた理由もわかりますし、落ちないように最大限の対策も可能です。
転職を少しでも考える場合には、まず転職エージェントに相談しましょう。
複数の会社に登録して面談したうえで、合ったところとやり取りをするのが大事です。
すでに年収が600万円以上あるという方はハイクラス向けのサービスもあります。
審査がありますが、年収の高い求人だったり、同じ企業でも他のサイトの求人とまったく職種の異なる求人があったりするのでぜひ活用しましょう。
営業のキャリアパスを考える
営業のキャリアパスですが、いくつかの典型的なパターンを見てみましょう。
- マネジメントに上がる
- 営業のスペシャリストになる
- キャリアチェンジする
- 独立・起業する
マネジメントに上がる
もっとも順当なパターンです。営業で結果を出して、リーダー、マネージャーと順番に階段を上がっていきます。
役員や取締役まで上がれば相当な成功パターンです。ここでのポイントはマネジメント経験を積むことです。
どの会社かはあまり重要ではありません。僕のいた大企業ではどんなに早くても3年目くらいまでは部下を持つことはできませんでした。
これがベンチャーに移ると、数ヶ月で部下ができ、1年経たないうちに数十人の部下ができました。
このように部下ができやすいところに身を置くのも一つの手です。
営業のスペシャリストになる
個人向けの営業などでもいますが、営業の道を極めようという人がいます。
会社の場合には遊撃部隊のような形でアライアンスや海外営業など、特殊なタイプの営業に進んでいく人もいます。
また、会社に所属していても、コミッションの部分が多かったり、個人事業主に近い動きの人もいます。
結果として営業しかできなく、マネジメントにも上がれなかったというパターンの人は相当数いますが、極めようとしてこれを選ぶ人はあまり多くない印象です。
キャリアチェンジをする
割合的にはこれも相当多いです。営業はコミュニケーションや数字目標の達成やPDCAを回すといった汎用的なスキル・マインドが身につきます。
最初に数年ほど営業を経験してほかの職種に移る人も多いです。マーケティング、広報、企画、人事などさまざまなパターンがあります。
ポイントは、それなりの結果を出すことと、早めに決めることです。30歳を超えて、大きなキャリアチェンジはなかなかハードルが上がります。
遅くとも20代後半には定めておきたいところです。
独立・起業する
これも多いわけではありませんが、一定数います。
営業力を活かして起業したり、個人事業主になったりするパターンもあります。有名な起業家でもリクルートなどの営業出身の人はたくさんいます。
ITサービスを作るような人からコンサルティングをしたり、よく書店に並んでいる営業本を書いたりなどさまざまです。
もともと独立しようという意思がある人もいますが、なんとなく立ち上げる人もいます。
ポイントはできるだけ売上が立つような状況を作ったり、事業立ち上げを経験したりすることでしょうか。
さらに知っておいてほしいこと
ここでは、営業とざっくり分けましたが、実際には営業には多くの種類があり、その1つ1つでまったく必要なスキルやポイントは異なります。
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