だいぶ昔の話になりますが、学生のときに所属していたゼミでゴールドマンサックスの人がゲストとして来ました。
そこで、『人口動態は未来をある程度正確に予想できる数少ないデータだ』というようなことを言っていました。
そして、その人口が国の経済に与える影響は大きいです。
日本が中国にGDPを抜かれたときも、1人あたりの生産性は中国の10倍はあったものの、単純に中国の人口がそれ以上だったことは衝撃でした。
日本人口が減少し続けるのをご存知の人も多いと思います。
2016年現在で、1億2,700万人の人口が2030年には1億1,600万人になり、2050年には1億人を割り込む予測も出ています。
このような状況の中で、これからの世界がどうなるのか、どこにチャンスがありそうなのかを考えたいと思い、GDPと現状の日本の進出状況をまとめてみました。
1.2030年の世界
※PwC、ゴールドマンサックス、21世紀政策研究所の予測より計算、色は平均以上のものをハイライト
GDP
人口的に当然かもしれません。2030年においては、どの予測においても中国が1位でした。
中国の成長性を疑問視する声もありますが、長期的にはポテンシャルがやはり非常に大きいです。
また、インドもどの予測においても日本を上回っていました。
また、Bricsでくくられていたロシアやブラジルもそれに続いています。
日本では東南アジアも注目されることは増えていますが、インドネシアが12位、タイが22位とまだそこまで上位に入っているわけではありません。
意外だったのは、サウジアラビアが9位、トルコが15位、イランが20位、パキスタンが27位と中東の国が成長し、上位に入っていることです。
人口、1人当たりGDP
全体を見ると、人口の増加以上に、生産性の向上がはるかに影響が大きいことがわかります。
インド、ロシア、サウジアラビア、インドネシアの1人あたりGDPの伸びが凄まじいです。
先進国比較では、アメリカが高いものの、その他はあまり大差はありません。
日本の労働生産性の低さも指摘されがちですが、数字自体は他の先進国と比べると多少下回るか同程度に留まります。
ただ、残業している人の割合や休暇を考えると、確かに労働時間の割には低いかもしれないです。
イギリスで働いていたときには、社長や役員レベルでも1ヶ月程度の長期休暇を取るのは普通でした。
日本の進出状況
やはり欧米諸国は人も企業も進出が多くなっています。中国でここまで多いことは意外でした。
治安が悪いところに人が少ないのも非常にわかりやすいですね。
サウジアラビア、ナイジェリア、イランなどはそのポテンシャルに比して非常に少なくなっています。
数字だけを見ていると、ロシアやトルコもまだチャンスがありそうに思われる。
2050年の世界
※PwC、ゴールドマンサックス、21世紀政策研究所の予測より計算、色は平均以上のものをハイライト
GDP
中国、米国、インドと上位の顔ぶれは変わりません。そこにインドネシア、メキシコが上がってきています。
日本の順位は統計によって異なるが、4位~8位までさまざまありました。
本当に8位になるかはわからないものの、どこかに負けてもおかしくないとは思います。
ヨーロッパも依然として残っていますが、中東やアフリカが入ってきているのが印象的です。
アジアではフィリピンやベトナムも伸びています。
ネクスト11(イラン、インドネシア、エジプト、韓国、トルコ、ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン、ベトナム、メキシコ)と呼ばれる国々が着実に存在感を増しています。
人口、1人当たりGDP
2050年まで見ると、成長が凄まじいです。
1人あたりGDPは現在の先進国の方がまだ大きいものの、これはあくまで平均なので中間層や富裕層を比べると同程度ないし、より裕福なケースも十分に考えられます。
人口減少は日本において深刻で他国と比べても減少率が大きくなっています。
むしろ、この減少を踏まえると順位は十分高いのではないかとさえ思えるくらいです。
日本の進出状況
基本的には2030年のものと変わらないですが、ここまで見据えると中東にいかに進出するかを考える価値はありそうです。
昨今の中東の治安の悪さを踏まえると、なかなか難しいとは思うが、チャンスが訪れるときのために、検討を進めておくとよさそうです。
最後に
生産性改善や人口増加はいうほど簡単ではないことは理解しています。
向こう数年で解決できる課題ではないからこそ、2050年のような長期に向けて対策をしていくのかなと。
日本のオプションとしては、人口が関わる問題は、ざっくりこのようなアプローチがあると思っていました。
- 北欧のような人口少なくても幸せパターン(AI活用、ベーシックインカム的など)
- シンガポールやルクセンブルクのような金持ち移民優遇(法人税低減、規制緩和など)
- ヨーロッパのようなどちらかというと労働力的な移民優遇(労働規制緩和、ビザ緩和など)
そして、最近の政府の方針を見ると、たぶん3の方向で進むような感じですね。(外国人の「単純労働者」を受け入れへ)
既存の制度を変えないで延命するのであれば、3が非常に日本的な選択肢です。
日本が好きなお金持ちの人は結構いるので、本当は2も部分的にありうるかと思います。ただ、平等意識もあるので、上に人を呼ぶよりも下に呼ぶ方が短期的には摩擦が少ないのかなと。
いずれにせよ、政府が舵をとったので、238万人といわれる外国人の数はさらに増えるでしょう。
現状は、日本人口との比率で見ると1.26億人に対して238万人(1.9%)ですが、将来的に1億人に対して500万人(5%)ということは十分ありえそうです。
ヨーロッパでは移民に関して問題が起きました。こちらも統計によりますが、10%前後くらいのようです。
そう考えると、日本の移民はかなり増えていくポテンシャルがありそうです。
さて、日本は今後どうなるのでしょうか。
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“2030年と2050年の世界GDPランキングと人口推移予測と日本の話” への5件のフィードバック