転職で失敗したい人はいないでしょう。
毎年300万人前後が転職しますが、やはり一定数のうまくいかない人は出てきます。
ただ、こうした失敗にはいくつかの共通したパターンがあります。
こうしたパターンを押さえておけば、典型的な転職の失敗は防げます。
ここでは、失敗例や失敗談を見ながら、どのように対策できるかについて見ていきます。
よくある9つの失敗例・失敗談
ここからいくつかのパターンに分けて、失敗事例や失敗談について見ていきましょう。
- なんとなく転職
- 焦って決めてしまう
- 労働条件が悪い
- 業務内容が実態と違う
- イメージと違った
- 雰囲気が悪い
- 社風や人と合わない
- スキル・経験が身につかない
- 活躍できない
1.なんとなく転職
なんとなく会社をやめたいと思うことがありますよね。
そのままやめて、ほかの会社に移ったものの、なんか違うと思うタイプの失敗があります。
転職の理由や目的が曖昧なままの転職という失敗パターンがあります。
- なんとなく転職しましたが、前の会社の方が雰囲気もよく、退職しなくてもよかったような気がします。
- 待遇が不満で転職しましたが、昇給もあまりない職場を選んでしまい、満足できていません。
- 仕事内容が不満で転職しましたが、新しい仕事にもやりがいを感じられず、退職を検討しています。
対策
転職するときに目的意識を明確にしましょう。
会社を辞めたいと思ったときには、不満の原因に関して考えましょう。
- 突発的なものではないのか
- どうしても変えられないのか
- それは本当に重要なのか
目的が明確であれば、後で後悔するような転職は防げます。
なんとなくで転職しないようにしましょう。
2.焦って決めてしまう
今の仕事が嫌すぎて退職したり、そもそも先に退職してから会社を探すパターンでも注意が必要です。
焦りから条件や見極めが甘くなってしまい、自分が理想とする条件とは違うところに入社してしまうことはよくあります。
- 退職してから転職先を探したため、離職期間が長くなり、やや妥協する形での転職となってしまいました。(著者本人)
- 前職が嫌すぎたために、急いで転職を決めてしまい、転職した後にもっといい会社があったのではないかと思ってしまっています。
- 転職を焦って決めたため、給料を妥協してしまい、家族に迷惑をかけたので、また転職をしなくてはいけません。
対策
転職は、自分の能力と会社の求人のマッチングです。
時間をかけられると、よりいい会社が見つかる可能性は上がります。
一方で、時間に限りがあったり、焦りがあると自分にあまり合っていない会社に入ってしまう可能性もあります。
在職中に行動すること、時間がかかっても焦らないことが大事です。
気に入る会社の内定がもらえるまで、入社しなくてOKです。
3.労働条件が悪い
労働条件は入社前に説明があるのが通常です。
よく見ると、みなし残業が60時間や休日出勤まで含まれていることもあります。
また、入社時の説明と実際に入社した後の待遇が違うというリスクもあります。
労働基準法などの法律はありますが、残念ながらすべての企業が守れているわけではありません。
- 休日出勤は想定していませんでしたが、会社の引越のタイミングと重なり、手伝いで10日ほど出勤することになりました(著者本人)
- 面接では残業はほとんどないと言われましたが、実際には毎日数時間の残業があり、残業代も出ませんでした。
- 正社員の募集なのに、面接で契約社員としての採用と言われてしまい、そのまま契約してしまいました。働き始めてから後悔しています。
対策
入社前にもらう雇用契約書はしっかり読み込みましょう。
書類をもらっていない場合には、必ず書類をもらいましょう。
会社の評判を事前にオンライン・オフラインで確認するのも有効です。
Vorkersや転職会議などの口コミサイトも活用して、会社の評判をチェックしましょう。
残業や休日出勤が多い場合には、だいたいこの時点で判明するはずです。
4.業務内容が実態と違う
募集されていた業務と実態が異なることもあります。
ベンチャーなどではよくありますが、人事がうまく機能していない会社でも人が足りない部署に異動させられるということもあります。
職種が決めてで転職した場合などは、戸惑うかもしれません。
- 営業やマーケティングの仕事でしたが、労務管理がまったくできておらず、アルバイトの仕事の手伝いを結構しました。(著者本人)
- 転職後すぐに、まったく違う部署に配属されました。多少、業務の幅があるのは理解していましたが、驚きました。
- 契約社員として採用されましたが、結局、社員の業務範囲までやっています。もらっている給料と割が合いません。
対策
規模の小さい会社では比較的よくあり、対策が難しいです。
どうしても数十人の会社では、異動したり、複数の仕事を兼務したりということが多いです。
意図的なものは入社時に確認しておくことは可能ですが、やむをえない事情で変わることはあります。
自分のやりたいことが明確にある人は、ある程度の規模の会社に入るほうが決まった業務につける可能性は高いです。
5.仕事がイメージと違う
未経験の職種に転向する際などはよくあります。
仕事のイメージと実態のギャップが大きいものもあります。
実際に働いている人と話したり、実体験を聞いたりしないとこうしたギャップでショックを受けることがあります。
- 企画の仕事にあこがれて入社をしましたが、数字の分析ばかりで自分のやりたかった企画業務とイメージが違いました。
- 接客と同じようにできると思い、営業になりましたが、自分から商品を売る難しさを痛感しています。
- これからはITが重要と思い、エンジニアになりましたが、黙々と作業をするのにあまり向いていないことに気づきました。
対策
仕事に就く前に自分の適性を知るのは難しいです。
自分で小さく試してみる方法がおすすめです。
- その仕事をやっている人に話を聞く
- 自分ができる範囲で、仕事をやってみる
- 休日や空き時間に業務を手伝ってみる
営業だとしたらものを売ってみる、エンジニアだったらプログラムを書いてみるといった方法が早いです。
休日に知り合いの会社で手伝いをしてみるのも選択肢の1つです。
手を動かして自分に合うか・合わないかを見極めましょう。
6.雰囲気が悪い
雰囲気が悪い会社で働いたことがある人はわかると思います。
暗い、業務上必要なコミュニケーションしかない、閉塞感がある、働いていて嫌な気分になる会社もあります。
採用のときの雰囲気とまったく異なるということは珍しくありません。
- 入社してみると、お葬式のような雰囲気で、管理職の人が毎日のように立たされて、説教されていました。(著者本人)
- ワンマン社長の会社で、誰も社長に意見できませんでした。
- 数字至上主義で、毎月のように大量に離職者が出ていました。大量採用、大量退職で職場の雰囲気はよくありません。
対策
雰囲気の悪さは、観察すればある程度見えやすいです。
会社がコントロールできていない部分を見せてもらいましょう。
- できるだけ多くの人と会う機会をもらう
- オフィスの中を見学させてもらう
- オンラインで口コミを調べる
自分の感覚も重要なので、違和感がある場合には詳しく、調べてみましょう。
7.社風や人と合わない
社風や人はどうしても相性があります。
会社ごとの違いも大きいですが、とくに外資、ベンチャー、大企業などでは大きく文化が違います。
面接の中でもなんとなく伝わってくるかもしれませんが、できる限り多くの人と話した方がいいでしょう。
- 外資に転職しましたが、ドライな人が多く、自分にあまり合わない感じがしています。
- IT企業に転職したところ、想像以上に若い人が多く、話題に困っています。
- 大企業に来ましたが、こまかいルールが多く、息苦しいです。
対策
会社との相性は、いろいろな人と話してみるのが一番です。
内定をもらった後でも大丈夫ですので、一緒に働く人たちの何人かと話させてもらいましょう。
大企業からベンチャーに行く場合など、大きな変化のある転職をする場合には同じ経験のある人に聞きましょう。
大企業からベンチャーにいった人や両方経験している人だといいでしょう。
8.スキル・経験が身につかない
ブラック企業の反対をホワイト企業と呼ぶこともあります。
ホワイト企業の中には、楽な一方で新しい能力や経験が身につかないといったことがあります。
待遇がいい企業の中には、長くいてもあまり能力が身につかず、将来的に困る可能性がある企業もあります。
- 待遇や仕事に不満はありませんが、新しいスキルが身につかず、心配になっています。
- ホワイト企業なのですが、新しいチャレンジをしておらず、このまま時間が経っていくことを不安に思っています。
- 仕事は難しくないのですが、同じことの繰り返しなので、このまま働き続けるべきかを考えています。
対策
大手企業でも雇用が安定しているとは限らないので、注意が必要です。
会社に残り続けても、特定のスキルや経験があればいざというときに転職も可能です。
若いうちの方が転職ははるかに簡単なので、その会社でしか通用しない仕事をしている場合には、どこかのタイミングで転職を考えたほうがいいでしょう。
9.活躍できない
今いる会社で活躍できているとほかの会社でも活躍できる気持ちになります。
ただ、実際には個人のパフォーマンスは働く会社に大きく影響を受けます。
前職でイマイチな人が次の職場で活躍していることもあれば、その反対の人も見ます。
- 大手企業からベンチャー企業に行きましたが、仕事のスピードや進め方があまりにも違い、なかなか結果を出せません。
- 起業していた会社をやめて大企業に転職しましたが、社内調整や稟議が面倒で思ったように仕事が進められません。
対策
環境の変化に伴い、結果を出せない人は一定数います。
うまく適応できればいいですが、年齢が一定以上であったり、本人のスタイルとあまりにも合わなかったりする場合には、環境を変えるのも1つです。
2~3年トライしてみて、やっぱり自分に合わないようであれば、転職するのも1つでしょう。
業界や企業別のよくある失敗例
外資・生保・1次産業はとくに転職の失敗が多いので、それぞれ少し取り上げます。
外資系への転職失敗
外資系は典型的な日系企業とは違う点がたくさんあります。
このような要素を理解せずに転職すると、イメージと違うと思い、また転職をすることになりかねません。
- 人間関係がドライ
- 上司の権限が強い
- 意見をはっきり主張することが好まれる
- リストラされることがある
- インセンティブが大きい
- 本社の影響で大きく方針が変わる
- 本社や海外に行ける可能性はあまり高くない
生命保険会社への転職失敗
生命保険会社への転職失敗もよくあります。
ソニー生命、プルデンシャル生命、アクサ生命などさまざまありますが、生命保険会社も非常に特徴的なので注意が必要です。
周りでも生保の営業をしている人は一定数いますが、はじめの方は非常に大変そうです。
- ほとんど個人事業主に近い
- コミッションの要素が非常に大きい
- 収入が安定しない
- うまくいけば高年収だが、離職率も非常に高い
- とくに最初は、起きている時間のすべてが業務時間
1次産業(農業・林業・漁師など)への転職失敗
まったく違う環境に身を置きたいという背景で1次産業へ転職する人もいます。
実際に自分で休暇で試したり、手伝っているケースはいいですが、そうではないのにいきなり環境を変えると失敗の可能性が上がります。
- イメージと違っていた
- まったく経験がなかった
- 人間関係が大変だった
- 天候に左右される
- 体力が続かない
失敗しないための4つの対策
ここからは転職を失敗しないための対策を取り上げていきます。
この4つを徹底することで、転職の成功確率が大きく上がります。
- 退職理由と転職の目的を明確にする
- 自分のことをよく考える
- 会社のことをよく調べる
- 選考対策をする
1.退職理由・転職目的の明確化
明確な基準がなければ成功はありえません。
退職理由を明確にする
なぜ転職したいのかを明確化しましょう。
退職理由は面接でも必ず聞かれますし、自分が働いてみたうえでの気づきを考える上で有効です。
転職を考えるということは、多かれ少なかれ不満があるということです。
よくある不満はこのようなものです。
- 業務内容
- 給料や福利厚生
- 労働条件(残業・休日出勤なども)
- 社風、労働環境
- 人間関係
- 会社や職種の将来性
不満だけでなく、満足したことも必ず押さえておきます。
満足した点を見逃していて、次の会社ではそれが退職してしまうといったこともあります。
転職目的を考える
今回の転職で得たいものを考えます。
給料であれば、給料重視、業務内容であれば、やりたい業務重視などです。
自然と退職理由とリンクしたものになるはずです。
2.自分のことをよく考える
自分の価値観を考えるきっかけにもなります。
自分の価値観を明確にする
また、自分にとって重要な価値観もあわせて考えましょう。
たとえば、以下のもので重要なもの・重要でないものを分けると見えてきます。
- 業務内容
- 給料や福利厚生
- 労働条件(残業・休日出勤なども)
- 社風、労働環境
- 人間関係
- 会社や職種の将来性
すべてを得ようとするとハードルが高くなります。
優先順位が決まっていれば、ミスマッチが減ります。
上司や同僚の人からフィードバックをもらうのも有効です。あなたが気がついていないことを指摘してもらえます。
ほかにもこのような質問に答えると、あなたの価値観がわかります。
- Whyにこだわるか、Whatにこだわるか、Howにこだわりたいの
- やりがいが重要なのか、待遇が重要なのか
- 決められたプランで行きたいか、柔軟に生きたいのか
- 仕事を大事にしたいのか、仕事以外にも力を入れたいのか
- 成果に対するプレッシャーは高くても大丈夫か
- マネジメントをしたいのか、個人として突出したいのか
- 黙々と仕事がしたいのか、わいわい仕事がしたいのか
- ずっとサラリーマンでいたいのか、独立したいのか
- たくさん稼ぎたいのか、必要な分だけでいいのか
- クリエイティブな仕事がいいのか、定型的な仕事をしたいのか
- 結果を大事にしたいのか、プロセスを大事にしたいのか
- 上下関係が重んじられる方がいいか、フラットな方がいいのか
- 人間関係はドライな方がいいのが、ウェットが好きか
- 成果主義の方がいいか、年功序列の方がいいか
- 転職を前提としたいのか、長い期間働きたいのか
3.会社のことをよく調べる
リクナビNEXTやマイナビ転職などの転職サイトはもちろん活用します。
求人数が多いので、あらゆる求人をチェックできて効率的です。
ただ、ほかにも活用できるサービスが多数あります。
スカウト系のサービスを利用する
自分から探す方法だけでなく、登録しておいて連絡を待つ方法もあります。
- 自分の市場価値がわかり、スカウトも送られるMIIDAS(ミイダス)
転職エージェントに提案してもらう
転職エージェントが非常に有効です。
ポテンシャルよりも実務経験になるため、合わないところはいくつ受けても落ちます。
プロに自分にマッチした求人を探してもらう方がいいです。
また、あなたが自分で気づいていないような仕事の提案もあるのがメリットです。
パソナキャリアや
リクルートエージェントなどの転職エージェントもぜひ活用しましょう。
ハイクラス求人サイトを使う
年収600万円以上の人は必ず登録しておきたいサイトが、ビズリーチとキャリアカーバーです。
自分の経歴を登録しておくだけで、スカウトが来ますし、高年収の求人を探すこともできます。
口コミサイトをチェックする
Vorkersや転職会議などの口コミサイトでも会社の評判をチェックしましょう。
4.選考対策をする
書類対策
選考書類ですが、転職では新卒のときのような変わったエントリーシートや質問が用意されることはありません。
- 履歴書
- 職務経歴書
の2点でだいたいどの企業も書類選考されます。
職務経歴書は超重要
職務経歴書は経験した仕事の詳細を書くもので、履歴書以上に重要な書類です。
履歴書ほどフォーマットが決まっていないため、差がつきやすい書類でもあります。
この職務経歴書がしっかりかけていない人は非常に多いです。
書類はチェックしてもらう
自力で書くのもいいですが、転職エージェントでチェックしてもらった方がいいです。
履歴書も職務経歴書もこまかなルールやポイントが多いです。
「面接にいけば、存分にアピールできる」と思っている人も書類で落ちてしまうと、どうしようもありません。
パソナキャリアは選考書類対策にも力を入れていて、おすすめなので相談してみてください。
書き方のポイント
このサイトでも別記事で書き方を解説しています。
ただ、これはあくまでも基本的な書き方であって、ベストなものはその人の学歴や職歴によっても違います。
パソナキャリア
やなどの転職エージェントで見てもらう方がいいでしょう。
面接対策をする
選考対策の中でもかなり重要なパートです。
どれだけ実務経験があっても、それを面接で伝えられないと仕事ができないとみなされてしまいます。
たとえば、以下はかなり典型的な質問ですが、うまく答えられない人もいます。
- なぜ退職したのか・転職を考えたのか?
- 志望動機は? なぜ他の会社ではないのか?
- 自己PR
退職理由⇒志望動機⇒自己PRをちゃんと説明できるだけでも印象はまったく違います。
ちょっとした対策でかなりよくなりますので、可能なら実践練習もしましょう。
このプロセスを軽視している人は多く、かなりもったいないです。
転職エージェント、ハローワーク、知り合いの人事でもだれでもいいので練習しましょう。
知り合いに相談できる人がいない場合には、パソナキャリア
が面接対策に強く、おすすめできます。
転職エージェントは必ず利用したい
転職のポイントの1つは、転職エージェントの活用です。
転職はかなり多くの注意点がありますが、すべてを勉強していると、時間がいくらあっても足りません。
面接対策などは重要にもかかわらず、ほとんどの人が我流で進めてしまっています。
転職というのは、多くの人は数回しか経験しないものなので、はるかに経験の多いプロにサポートしてもらいましょう。
彼らは毎日のように転職を考えている人と会い、その人たちをサポートしています。
転職に関して、以下のようなメリットがあります。
- 転職の進め方のアドバイスがもらえる
- 該当業界・業種の求人状況を教えてもらえる
- 自分の希望に合った求人を提案してもらえる
- 書類・面接対策のアドバイスがもらえる
25歳、30歳、35歳、40歳と年齢が上がるにつれて、どんどん選択肢は狭くなっていきます。
一番のリスクは、意思決定を伸ばした結果、手遅れになってしまうことです。
転職の成功確率を少しでも上げるために、転職エージェントに必ず相談しましょう。
大手で求人数も多く、サポートも良好な転職エージェントはこちらです。
さらに知っておきたいこと
ここでは、失敗例から転職を成功させる方法まで見てきました。
キャリアは個人の差が大きいため、失敗も成功も科学するのは難しいです。
ただ、多くの人が同じような失敗をしているので、典型的な失敗を防ぐと成功確率は上がります。
しっかり対策して転職を必ず成功させましょう。
“【失敗談あり】転職に失敗して後悔しない。失敗例から成功法を学ぼう!” への4件のフィードバック