再就職手当はご存知ですか?
あなたが条件さえ満たせば、転職したときに国からお祝い金をもらえるような制度です。
離職時にもらえるものとしては、失業手当(失業保険)のイメージが強いですが、自己都合で退職した場合には3ヶ月間はもらえません。
離職期間が長くなることはあまりプラスと取られないことが多いので、周りでも受給している人はあまり多くありません。
この再就職手当は、いくつかの条件がありますが、失業手当(失業保険)の一部を数週間の離職期間でももらえる可能性があります。
自分の場合には、2回目の転職の際にこの制度を利用して、30万円程度もらえました。
ここでは、そんな知名度が低い、再就職手当のもらい方や金額・条件につきましてご紹介します。
よくある質問もまとめていますので、気になるものはそのまま目次からクリックして、確認してみてください。
目次
再就職手当をもらえる条件・要件
まずは、再就職手当をもらえる条件を見ていきます。
もらえる条件の一覧
- 受給手続き後、7日間の待機期間満了後に就職、又は事業を開始したこと。(待機期間中に仕事等をしたことにより失業の状態でなかった日や失業の認定を受けていない日については、待機期間に含まれませんのでご注意下さい)
- 受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待機期間満了後1ヶ月の期間内は、ハローワーク又は職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
- 就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
- 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
- 離職した前の事業者に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事務所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
- 1年を超えて勤務することが確実であること。(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。)
- 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
- 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。
1. 7日間の待機期間満了後に就職・事業を開始
受給の手続き後に7日間の待機期間と呼ばれる期間があります。
この期間であなたが本当に失業者であることを確認する(失業の認定をする)わけです。
この期間中に就職活動をすることは問題ありませんし、内定することも問題ありません。(実際に、働き始めるまでは失業中なので)
ただ、この期間中に働き始める(入社する)と待機期間の基準を満たさずに、受け取ることができません。
どんな人も手続きをしてから1週間は、働きはじめないことです。
2. 給付制限者は待機期間満了後1ヶ月の期間内は職業紹介のみ
失業保険には、給付制限というものがあります。
一般的に失業手当と呼ばれる基本手当は、待機が終わってすぐに支給が開始される場合とそうでない場合があります。
細かい条件もありますが、一般的に会社都合の場合は、給付制限なし、自己都合の場合は、給付制限ありだと考えていいです。
つまり、自己都合退職で給付制限がある方は、待機期間満了後1ヶ月の期間内は、ハローワーク又は職業紹介事業者の紹介で就職する必要があります。
出典:再就職手当のご案内
今回のケースでは、このようになります。
- 会社都合離職:最初の7日さえ過ぎればどんな方法の就職でも問題なし
- 自己都合離職:7日間の待機を終えて、1ヶ月後は、どんな方法での就職でも大丈夫
待機を終えて1ヶ月以内は、ハローワークもしくは職業紹介事業者(転職エージェント)の紹介のみが対象
自己都合で1ヶ月以内の転職は、ハローワーク・転職エージェントを活用しましょう。
自分のときは自己都合の退職で、1ヶ月以内の転職でしたが、エージェントを活用したので、対象となりました。
3. 基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上ある
聞き慣れない言葉が並びますが、所定給付日数とは、失業手当がもらえる期間のことです。
基本手当の支給残日数というのは、この失業手当がもらえる残りの期間のことです。
たとえば、所定給付日数が90日だとしたときに、残り30日以上の支給日が残っていることが条件になるというわけです。
この所定給付日数も給付制限同様に人によって異なります。
所定給付日数
所定給付日数は、あなたがどのような形で離職したか、働いていた期間、年齢などによって変わります。
自己都合の場合には、下記の2.に当てはまります。たとえば、7年働いていた会社を33歳で自己都合退職すると90日となります。
会社都合の場合は1.に当てはまります。たとえば、7年働いた会社を33歳で会社都合退職すると180日となります。だいぶ違いますね。
出典:基本手当の所定給付日数
4. 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していないこと
当たり前かもしれませんが、前職と次の職場で7日以上空いているからといってもらえるわけではありません。
在職中にすでに決まっていたり、受給手続前にすでに内定している場合には、対象となりません。
あくまで、受給手続きの時点では、離職中であることが必要になります。
ここで、入社日を実際とずらす、内定をしていたことを隠して申し込むなどは不正受給となり、詐欺罪になる恐れがあります。
絶対にやめましょう。
5. 離職する前の事業者や密接な関わり合いがない事業者に就職する
離職した前の事業者やその事業者と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いある事業所に就職する場合には、対象外となります。
こちらも不正に使われるのを避けるように、同じ会社や子会社、取引先などへの就職は対象とならない可能性があります。
6. 1年を超えて勤務することが確実であること
1年限定の更新なしの仕事などは含みません。一方で、派遣会社で契約更新がありの場合には、含まれる可能性もあるようです。
更新可能性がありという時点で確実であるとは言えないと思いますが…
こういう曖昧なものはハローワークに確認したほうがいいでしょう。
7.過去3年以内の就職について、支給を受けたことがない
過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないという条件もあります。
多くの方は再就職手当を過去3年間受け取っていないことだと考えれば大丈夫です。
常用就職支度手当とは、再就職手当の受給要件を満たさない場合でも、障害などの理由で就職が困難な人をサポートする手当です。
8. 雇用保険の被保険者になっている
あまり気にしなくても大丈夫です。
雇用される労働者は、常用・パート・アルバイト・派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、① 1 週間の所定労働時間が 20 時間以上であり、② 31 日以上の雇用見込みがある場合には、原則として被保険者となります。(出典:厚生労働省 雇用保険の被保険者について)
再就職手当をもらえない・もらえなかった例
よくある失敗パターンをまとめていますので、気をつけましょう。
- 受給手続前に内定先が決まってしまった
- 離職から2ヶ月後に転職したが、受給手続きを忘れてしまっていた
- 待機期間中に内定が出て、働き始めてしまった
- 待機期間は終わったが、1ヶ月待たずに転職サイトを使って入社してしまった
- 待機期間を計算せずに、受給開始からちょうど1ヶ月後に自分で見つけた求人で働き始めた
- 独立したが、1ヶ月待たずに開業届を出してしまった
- 自分自身の経営する会社が倒産する
- 2年前に再就職手当を受け取っている
- 就職先が前の職場との関係が近かった
再就職手当の金額計算方法
再就職手当は下の計算式で決まります。
基本手当日額 × 所定給付日数の支給残日数 × 60%または70%(支給残日数が3分の2以上は70%、それより下は60%)
計算例
いくつか参考例として、計算してみます。
Aさん
- 基本手当日額:5,000円
- 支給残日数:40日(所定給付日数90日)
- 支給率60%(3分の2以下なので)
5,000円 × 40日 × 60% = 12万円
Bさん
- 基本手当日額:6,000円
- 支給残日数:90日(所定給付日数90日)
- 支給率70%(3分の2以上なので)
6,000円 × 90日 × 70% = 37.8万円
Cさん
- 基本手当日額:3,000円
- 支給残日数:60日(所定給付日数120日)
- 支給率60%(3分の2以下なので)
3,000円 × 60日 × 60% = 10.8万円
どれだけすでに支給されているかにもよりますが、90日分(自己都合・全日数)だと30万円程度もらえることも多いです。
基本手当日額
基本手当の計算はややこしいのですが、基本的に保険者の過去6ヶ月分の賃金(賞与などを除く)をベースにして決まります。
その賃金を180で割り、その80%~50%の金額(賃金が高いほどパーセントが小さくなります)が日額となります。
再就職手当は最短でいつ支給されるのか?
入社後に、再就職手当支給申請書という書類を提出します。
提出すると目安として1ヶ月以内に支給決定通知書という案内が来ます。そこで支給の決定と支給額が書かれています。
その後、1週間程度であらかじめ伝えた銀行口座に振込があります。30万円以上だったので、かなり嬉しかった記憶があります。
目安としては、入社から2ヶ月程度は見ておいたほうがいいでしょう。
申請方法・手続きの流れ
まず、ハローワークに行きます
オンラインの情報であまり書かれていませんが、最初にハローワークに行く必要があります。
この手続きをしないと何ももらえません。
持ちものはこちらです。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
- 個人番号確認書類(いずれか1種類)
- マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
- 身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
(1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
(2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など - 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)
ややこしいのは、会社に用意してもらう必要のある、雇用保険被保険者離職票というものです。
前職の労務担当の人などに話すと話が早いかと思います。
ここで、離職票を提出して、求職の申込みをします。
雇用保険受給資格者のしおりという重要な書類と、雇用保険受給者初回説明会の日程と出席の確認をされました。
待機します(7日間)
いわゆる7日間の待機ですが、とくに何かがあるというわけではありません。もちろん、自宅待機する必要もありません。
ハローワークの説明会に行きます(2回目)
ここで、やらなきゃいけないこと・やってはいけないことなどの説明を受けます。
唯一の注意点としては、この期間中に働いた場合には、申告する必要があるということです。
隠すことに対して、非常に厳しいので、判断に迷うことがあったらまず伝えるようにしましょう。
ここで、雇用保険受給資格者証をもらいます。
次に認定日という日程が伝えられます。
失業保険を受ける場合には、4週に1度、ハローワークで求職状況が確認されます。
ここまでに、最低2回は活動(ハローワークに来たり、求人に申し込みをしたり)する必要があります。
僕の場合には、認定日までの間に就職が決まったので、認定日になる前に終了しました。
就職先が決まったら
就職日の前日までにハローワークに行きます。
雇用保険受給資格者証だけ持っていけば大丈夫かと思います。
入社したら
入社した会社に協力してもらいながら、書類を揃えて、提出します。
原則として入社してから1ヶ月以内なので、早めに提出しましょう。
自分の場合には、エージェントを使ったという証明も必要だった(1ヶ月以内だった)ので、リクルートエージェントの人に書類をもらいました。
- 失業認定申告書
- 採用証明書
- 再就職手当支給申請書
これらを提出すると、終わりです。後は待つだけです。
実際にやってみると、そこまで大変なイメージは無かったですが、やはり何回か行ったり、多少の手間はありますね。
郵送でも提出できます
ちなみに、入社後の書類ですが、郵送でも可能です。
自分の場合には、往訪のついでに寄らせてもらいましたが、自由に外出しにくい職場もあると思います。
支給決定通知書が来ます
目安として提出が完了してから1ヶ月程度で封筒が届きます。
ここに、支給しますということや支給金額などが書かれています。
振り込まれます
通知が来てから1週間程度で指定の口座に振り込まれます。
他の手当も活用しましょう
就業促進定着手当
あなたの給料が前職よりも下がってしまった場合には、再就職手当に加えて、さらに手当がもらえる可能性があります。
詳細は別の記事にまとめましたので、こちらもどうぞ。
就業手当
失業期間中に働いた場合でも一定の手当がもらえます。
再就職手当に関するよくある質問
再就職手当の審査ってどんな内容ですか?
あなたが虚偽の申請をしていないか、入社した会社で働き続けているかなどをチェックするものです。
やましいことがなければ、とくに何も言われません。
不正受給は見つかりますか?
期間中に労働をしていたりが発覚する可能性は高いでしょう。
見つかると、不正に受給したもの返還に加え、受給した2倍の金額を納める必要があります。
悪質なものは、詐欺罪として刑事罰に問われる可能性もあります。
すぐに退職すると返還しなくてはいけませんか?
再就職手当の支給後に退職しても返還の必要はありません。
また、ハローワークに行き、手続きをすることで、失業保険に関しても受け取ることができます。
内定日次第では受けられないのでしょうか?
内定日が求人の申込みの前でなければ大丈夫です。
雇用保険に入ってないのですが?
会社を経営していた人やフリーランスの人は、自分で特別なものに申し込んでいない限り、雇用保険のようなものはありません。
残念ながら自分の持っている資金で、どうにかする必要があります。
申請期限はありますか?
期限は原則として、入社後の1ヶ月となっています。
ただ、実際には新しい職場に慣れるのに時間がかかったり、忙殺されたりで遅れてしまうこともあるかもしれません。
時効は2年となっているので、1ヶ月が過ぎても大丈夫です。ただ、早めに越したことはありません。
採用された会社に試用期間があっても大丈夫ですか?
継続が前提での試用期間であれば、まったく問題ありません。
扶養に入ったままでも受けられますか?
扶養に入ったままでも受けられます。
ただ、収入が多く、扶養から外れる可能性がある場合などは確認をしたほうがいいです。
フリーランスになる場合にも可能ですか?
可能です。フリーランスの場合には、開業届けを出すタイミングが基準になります。
それまで会社で働いている場合には、開業届けは申請して、待機期間(7日間)が過ぎてから出す必要があります。
なお、業務委託やフリーランスの仕事を期間中に受けることも可能です。
ただ、その場合には、その働いた分の日は除いて計算されるので、いずれにせよ働いていない期間が7日間+30日間は必要となります。
起業の場合でも可能ですか?
フリーランス同様に可能です。こちらも同じように、受給要件を満たすようなタイミングで開始する必要があります。
さらに知っておきたいこと
すでに離職中であったり、まずは退職しようという方はぜひ利用したい制度です。
自己都合での退職の人はエージェントを活用すると、7日間の待機後はいつ働き始めても大丈夫です。
個人的には、転職のプロの転職エージェントに相談をすることを強くお勧めします。
転職エージェントは担当者によっても質はさまざまですが、彼らは毎日多くの人をサポートしています。転職をせいぜい数回しか経験していないあなたの何十倍も転職に向き合っています。
僕自身は、転職するときには必ずエージェントに相談します。
彼らしか持っていない情報や彼らしかサポートできないことがたくさんあることを知っているからです。いくつか紹介します。
- 転職の進め方
- 該当業界・業種の求人状況
- 自分の市場価値・アピールポイント
- 自分の希望に合った求人
- 行きたい会社に内定する可能性
- 書類・面接対策のアドバイス
結果として、エージェントに紹介された会社に入社したこともそうしなかったこともあります。
それでも転職活動の早い段階で、転職の進め方や自分の市場価値、内定可能性の高そうな具体的な求人などを聞いておくことは非常に有用です。
転職は、何回もできない意思決定です。入社しなきゃわからないことは仕方がありませんが、少しでも成功率を上げましょう。
よく家族に相談をしたり、友人に相談をしたりする人がいます。彼らはあなたのことは詳しいかもしれませんが、転職のプロではありません。
確実に成功させるためにも転職のプロのアドバイスを絶対に受けたほうがいいです。いくつかおすすめの転職エージェントを紹介します。
並行して転職サイトやそのほかの転職サービスを使うのは問題ありませんが、転職エージェントは必ず登録しましょう。
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