キャリアプランという言葉があります。
「あなたのキャリアプランはなんですか?」と言われるとドキッとするかもしれません。
ここでは、キャリアプランがそもそもどのようなもので、それを考える意味や考え方を紹介します。
また、女性のキャリアや職種別、年代別のキャリアの注意についても見ていきます。
こんな方にはとくにオススメです。
- キャリアプランがどういうもので、なぜ必要かわからない
- なんとなく将来のことを考えておきたい
- 面接でどう答えればいいのか知りたい
- 具体的な書き方を知りたい
では、見ていきましょう。
目次
キャリアプランとは何か?
キャリアとは?
一般的には業務歴や職歴のことを指します。
新卒で○△商事で営業を3年間、その後で△✕銀行で2年…といったものです。
このサイトでは、キャリアというのはもう少し広い意味で、生き方と捉えています。人生100年時代のキャリアというと、それは職業人生だけではないですよね。
ちなみに、厚生労働省のキャリアの定義はこのようになっています。
「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。(出典:「キャリアとは」厚生労働省キャリアコンサルティング)
キャリアプランとは?
キャリアプランとは、Career(生涯、経歴)のPlan(計画)で、自分の人生や経歴などの計画を指します。
ほとんどは職業についてのものなので、このようなものです。
- IT大手で営業として5年間勤務
- 係長に昇進し、さらに3年間勤務
- 他社に転職し、2年間勤務
- 課長に昇進
キャリアプランという言葉自体が明確に定義されているわけではないので、粒度はさまざまです。
仕事のみを入れる場合もあれば、結婚や家を買うといった広義の内容を指すこともあります。
詳細な時間軸を入れる場合もあれば、なんとなく営業をしてから、新規事業というざっくりしたものもあります。
キャリアプランを考えるというのは、長期的な目標やその道筋を考えるということです。
キャリアパス、キャリアビジョンとの違い
キャリア〇〇という、キャリア用語はたくさんあります。
キャリアプランに近いものとしては、キャリアパスとキャリアビジョンがあります。
キャリアパス(Career Path)
キャリアパスは、キャリアのパス(path = 経路)なので、キャリアの道筋を指します。
キャリアプランと似ていますが、基本的にキャリアパスは社内でのキャリアを指します。
○年後に係長、○年後に課長のようなものです。
また、感覚的にはキャリアプランよりも、直近のキャリアに関するものが多いです。
キャリアビジョン(Career Vision)
キャリアビジョンは、最終的にキャリアで達成したいゴール・理想像の意味合いで使われます。
「将来的には、どのようなことをしていきたいですか?」という質問の答えと考えてもいいです。
3年後、5年後、10年後に何をしていたいか、そのときの姿に関してもキャリアビジョンです。
キャリアプランはこの現状とキャリアビジョン(目標)を結ぶものだともいえます。
キャリアプランは意味があるのか?ないのか?
せっかく考えてもプラン通りに行かないのであれば、キャリアプランを考えるのに意味がない、無駄だという人もいます。
もし、プラン通りにいかないものが無駄なのであれば、個人のライフプランや法人の事業計画や業績予想はほとんど無駄でしょう。
個人的には、そうは思っていません。すべての人に必要とも思いませんが、多くの人には有効だと思います。
その理由と、あまり意味がないケースに関して、メリット・デメリットで見ていきます。
キャリアプランを作るメリット・デメリット
作る3つのメリット
1.作る過程で目標が明確になる
プランは計画ですが、それを作るうえでは、必ず向かう先の目標が必要になります。
もとから明確な人はいいかもしれませんが、あまり考えたことがない人は、考える過程で目標が明確になっていきます。
足元の状況を踏まえながら将来について考える機会を設けるには、キャリアプランを考えるというのはいいのではないでしょうか。
2.プランがあることで楽になる
仕事でもなんでもそうですが、浮き沈みは必ずあります。
「このままでいいのだろうか」、「なにかを変えた方がいいのだろうか」と思うこともあるでしょう。
自信を無くしたときや不安に襲われたとき、プランがあると楽です。
この目標に向かって、今こうしているから大丈夫だと考えやすいです。
プランがあると、自由度が低くなってストレスを感じると考える人もいます。
ただ、実際に見ていると、一見自由に見えるフリーランスや起業家の人でも精神的な問題を抱えていることが多いです。
プランがあることで楽になる人もいます。
3.プランがあると改善ができる
たとえば、自分の目標が「10億円規模の新規事業を作る」ことだとします。
これを達成する方法はいくつかあります。
- 今の会社で新規事業を作る
- ほかの会社に転職し、新規事業を作る
- 起業して、新規事業を作る
こうしたプランを立てて実際に動くことで、目標に近づくことができます。
上の例であれば、まずは今の会社で無理だったら、他の会社、もしくは起業という形でどんどんチャレンジしていけます。
プランしても動かないと無駄になりますが、プランなしに動き続けるのも非効率です。
作る3つのデメリット
1.柔軟性がないと無駄
あまり当初のプランにこだわりすぎるのはよくありません。
環境の変化はどんどん早くなっていますし、想定外にものごとが進み続けることはほぼありえません。
起こったことに柔軟に対応しながら、変え続けられないと逆にマイナスになってしまいます。
2.やらされたものは無駄
面接で聞かれそうだから、友達に言われたから、なんとなく考えておいた方がよさそうという方にはあまりプラスになりません。
理由もわからず、やらされ感覚で、なんとなくでっち上げるものは、無駄どころか有害です。
必要と感じなければ作る必要はありません。
3.プランにこだわる必要はない
上と関連しますが、キャリアを思考するアプローチは必ずしもキャリアプランでなくてもいいです。
キャリアプランという考え方は、決まった目標に向けて、道筋を作り、それに沿って進んでいくという1つの考え方です。
ただ、すべての人が非常にクリアな夢や目標を持っているわけではありません。
そういう夢まで一直線という形以外のキャリア理論もあります。
- キャリア・アンカー理論:自分の価値観をベースに考えていくアプローチ
- 計画された偶発性理論:キャリアは予想できないので、自分の姿勢をコントロールするアプローチ
別の記事で詳しく書いていますので、こちらもぜひどうぞ。
キャリアプランの考え方3つ
ここからキャリアプランの考え方を3つほど紹介します。
どんな人も思考の癖があるので、自分に合った考え方を採用しましょう。
1.将来やりたいことから考える
もっともシンプルな古典的なアプローチです。やりたいことを考えて、現状を分析してそこを埋めるようにキャリアプランを考えていきます。
医者になって開業したい、弁護士になって企業法務に携わりたいなど明確な目標がある場合にはいいですね。
目標が明確であれば、すでにそれをやっている人や必要な条件を調べて、粛々と進めるだけです。
2.ロールモデルを探す
これもかなり有用です。
自分で思いつかなければ他の人を見ましょう。
そもそも選べる選択肢はあなたの知識・経験にも限定されてしまいます。
最近は、オンラインでも大量のコンテンツがあるため、どの職業でもインタビュー記事などが見つかると思います。
その中で、この人みたいになりたいという人をロールモデルとして参考にして考えるのもありです。
就活を経験した方は、OB訪問や会社説明会で多くの人から話を聞いたかと思います。
こうした人たちの中から尊敬できる人たちを見つけて、参考にしましょう。
3.今までの経験から価値観を明確化する
具体的になりたい姿ではなく、価値観や自分のあり方で決める方法もあります。
どうしてもキャリアを考えるというと、なりたい姿が明確にあることが前提になっていることもあります。
やりたいことがないと苦しんでいる人がいますが、無理に掘り出して決めつける必要はありません。
実際は、あなたにとって一番ハッピーなキャリア(生き方)になればいいわけで、どこかに到達しなくてはいけないわけではありません。
たとえば、自由に生きたい、家族を大切にしたいとかそういうものですね。
そのような働き方を実現している人を探して、それを模索するのも1つです。
具体的な掘り下げ方をいくつかご紹介します。
やりたいことを100個書き出す
やる前は半信半疑でしたが、やってみると興味深いです。
そもそも100個書くのってかなり大変です。
ここでのポイントは本当にやってみたいこと(見栄とか恥ずかしさは捨てて)を全部書くことです。
このリストを眺めたり、そこででてきたものをまとめたりすると、見えてくるものがあります。
過去の経験を書き出す
過去の分析はやりだすとキリがありません。業務経験を整理していくのはキャリアの棚卸しといわれたりもします。
できるだけシンプルに時代別に、あったこと・どんな影響を受けたか・なぜかくらいをまとめましょう。
これを良かったこと・悪かったことで見てみると、あなたの勝ちパターン・負けパターンがわかります。
やればわかりますが、10年前くらいのことはもうほとんど忘れていたり、都合のいい記憶だけ残っていたりします。
他人からフィードバックをもらう
自分で見るだけでなく、人の意見ももらうことも重要です。
できれば、あなたが働いたり、一緒になにかやったことのある人に自分のことを聞いてみましょう。
自分が見落としていることがあったり、当たり前だと思っていることがそうでなかったり、学びが多いです。
ジョハリの窓という考え方があります。
あなたが自己開示をすると、他者の知らないことが減り、他者からフィードバックをもらうとあなたの知らないことが減ります。
自分に関する理解がさらに進みます。
自己分析に使える本
ストレングス・ファインダー
もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。本はおまけで、メインはこの本のコードを使ってできるアンケートです。
30分程度かかる質問に答えていくとあなたの5つの強みがわかるというものです。結構、当たるので定期的に話題になります。
これを自己分析というのかはわかりませんが、自分は気に入りすぎて、時期を変えて3回くらい試しました。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0をAmazonで見る
絶対内定
就活生向けの就活本で、賛否両論の本ですが、自分は嫌いではないです。
業務経験のない学生にとっては、誤解を与える部分もあるかもしれませんが、自己分析に関するワークが膨大で気に入ったものだけを使えば問題ないでしょう。
絶対内定2020 自己分析とキャリアデザインの描き方をAmazonで見る
キャリアプランの書き方・例文
選考でのキャリアプランに関する注意
キャリアプランに関しては、就活や転職の書類でも面接でも聞かれることがあります。
- 「将来的にはどうしたいですか?」
- 「3年後にはどうしたいですか?」
- 「長期的に携わりたい業務はありますか?」
聞き方はさまざまですが、彼らが知りたいのは、あなたが活躍できるかどうかです。
- その企業で達成できるものか
- 企業と合っているか
- 志望動機や応募職種などと一貫しているか
- 実際にその人が活躍するイメージが湧くか
このようなことに気をつけて、答えましょう。
キャリアプランの書き方・例文
書くときには、結論⇒理由⇒補足⇒結論の順番で書くと、文章がわかりやすくなります。
スペース次第ですが、その目標に向かって、現在なにをしているのかも入れておくと、さらにいいでしょう。
私は将来的には、事業全体を見る事業責任者になりたいと考えています。
以前、小規模なチームのリーダーを勤めましたが、さまざまな役割の人をマネジメントし、成果を出すことに充実感を感じ、より大きな裁量をもって進めたいと考えたことがきっかけです。
前職では、営業とマーケティングを経験しましたが、事業において開発の重要性が高いことを認識したので、今は自分でプログラミングの勉強をしています。
事業をマネジメントするための能力を高めて、貢献していければと思っております。
キャリアプランの面接での答え方
面接でも気をつけるポイントは同じです。
「先のことはわからない」というと何も考えていない印象を与えてしまいます。
本音で「3年で他社に移ります」という答えも歓迎されません。
「僕は3年で退職して起業します」と面接で言っていたら、1社以外すべて落とされたことがあります。
本音が歓迎される企業もまれにありますが、非常に稀です。
無難な答えとしては、たとえば営業職で応募している場合には、営業でのマネージャー、新規事業の営業などです。
営業でプレーヤーとして活躍してからマネジメントやアライアンス業務などを広げていきたいなどが模範的な回答になります。
もちろん、このときに伝えることは必ずその企業内でできること・推進していることにしましょう。
あまり本質的ではありませんが、お約束だと思ってしっかり対応しましょう。
- 将来的には事業責任者になりたいと考えています。営業経験を活かしつつ、マーケティングや開発や会計などの能力を身につけていき、5年以内に事業全体を見ることができるようになっていたいです。
- 3年間ここで勉強してから起業します。(ベンチャー以外では、働き続けることが前提の理由が好ましいです)
- 5年後はより大きな企業で経営企画として活躍するつもりです。
職種別のキャリアプラン
ここから職種・女性・年代ごとに気をつけたいことを見ていきます。
経理・総務などの事務職
経理や総務、一般事務といった仕事は競合が多くなりがちです。
自分がスキルとして、売れるものを持っているかを常に考えておきましょう。
経理であればわかりやすいですが、一般事務などでもワード、エクセル、パワポあたりが使えるようになると幅が大きく広がります。
たとえば、営業の人は書類仕事やツールが苦手な人も多いので、営業事務(企画)なども選べるようになります。
SE・Webエンジニア・デザイナー
この領域はしっかりスキルさえつけておけば、仕事に困ることはありません。
正社員として働く以外にも、フリーランスや業務委託など幅広い働き方もできます。
別記事でIT系の方の転職についても書いていますので、こちらもどうぞ。
参考:IT系の転職でおすすめは?転職サイト・エージェントを一気にご紹介
営業職
営業は結果がすべてです。会社で実績さえ残しておけば、食いっぱぐれはありません。
自分は営業が長かったので、営業のキャリアに関しては別記事でまとめました。転職攻略法とありますが、キャリアについてもがっつり書いてあります。
女性のキャリアプラン
女性は出産・育児・介護などの事情が大きくキャリアに影響を与えます。
キャリアプランもこうしたプライベートのプラン(ライフプランとも)を考慮したものにする必要があります。
ポイントは2つで、自分の市場価値を高めておくこと、女性の働き方に理解がある会社に身を置くことです。
自分の市場価値を高める
上でも触れましたが、スキルや実績を高めておくと、転職や再就職がしやすくなります。
一般的には、経歴にブランクがあると、不利になりやすいため、そうした不利な要素を覆せるだけの武器を持っておきましょう。
たとえば、以下のようなものです。
- 営業での売上記録
- 経理の実務
- デザイナーとしての経験
- エンジニアとしてのスキル
一般事務などは、代替されやすく非常に危険なので、できる限り避けましょう。
女性の働き方に理解のある会社で働く
会社によって、女性の働きやすさは本当に大きく異なります。
自分が今まで所属した会社の多くは時短勤務や育休などが認められていました。
ちなみに、残念ながら制度として取得できることと、取得しやすいことには大きな差があります。
対外的に、女性に優しくないというブランディングをする会社はないので、口コミサイトを使ったり、転職エージェントに確認しましょう。
女性の方のキャリア・転職について気をつけたいことに書いたものもあります。よろしければあわせてどうぞ。
年代別のキャリアプラン
新卒・20代
20代はキャリアプランはあまり気にする必要はありません。
20代のうちは試行錯誤が効くので、海外に行く、ベンチャーに行く、自分にとって極端な選択はこの時期にしておきましょう。
転職回数だけ多くしないように気をつけましょう。
30代
30代に入ると、選択肢が狭まってきます。
未経験の職種に転職をしたり、ベンチャーへの転職をしたりは少しでも早めにしておきましょう。
35歳くらいまでは、まだ選択肢が多いので、プライベートのことも考慮に入れて必要なら転職をしましょう。
40代・50代
40代を超えると、それまでと違い、40歳でも45歳でも50歳でもそこまで変わりません。
こうなってくると、少しでも早くというよりは、自分に合ったところをいかに見つけるかということです。
よほどのキャリアを積んだ人以外は、転職サイト・転職エージェントの反応も悪くなってきます。
自分の知り合い経由であったり、人脈を頼ったりするのも重要です。
転職に使えるサービス
転職サービスというと、具体的に転職しようと考えてから使い始める人もいるでしょう。
ただ、そのタイミングでは少し遅いです。
たとえば転職サイトは普段から登録しておくことで、スカウトを受け取ることができます。
スカウトを通してだいたいの自分の市場価値がなんとなくわかります。
転職サイトは以下の2つがおすすめです。
また、より直接的に市場価値を測るものとしてMIIDAS(ミイダス)のようなサービスもあります。
普段から自分の市場価値を理解しておくことで、キャリアプランの精度が上がります。
プロのアドバイスも受ける
より積極的に転職を考えるときには転職のプロに相談するのがベストです。
転職エージェントの人は毎日のように転職希望者をサポートしています。
- あなたの市場価値がどの程度か
- あなたが考えているキャリアプランは現実的か
- どのようなスキルや経験を得ると、理想的なキャリアを歩めるか
といったことを相談するにはベストな相手です。
計画をするのはあなたの仕事でも、本当に実現可能なプランかは検証しておきましょう。
今すぐに転職を考えていないという場合でも相談に行くのは非常に有効です。
転職活動自体は、うまくいかなければ、転職しなければいいだけなので、何のリスクもありません。
年齢が上がり、チャンスが減る前にエージェントに相談し、チャンスを逃さないようにしましょう。
多くの人は年齢が上がってから活動を始め、苦労するというパターンにハマりがちです。
リクルートエージェントなど求人数が多く、優秀な人が多いサービスをぜひ活用しましょう。
さらに知っておきたいこと
ここでは、キャリアプランについて見てきました。
ほかにもキャリアや転職について書いているので、ぜひこちらもどうぞ。
知識が増えると、選択肢が広がります。
“【例文あり】キャリアプランの考え方とは?書き方・転職面接の対応と注意” への3件のフィードバック