退職を決めたらどのように伝えればいいのでしょうか?
あなたの所属する会社の規模にもよりますが、しっかり上司や人事とコミュニケーション取れてさえいれば、書類はそこまで重要ではありません。
あくまでコミュニケーションを取るうえで、取ったうえでの確認資料だと思っておくといいと思います。(もめた際は、少し違いますが)
ただ、あなたの退職に伴い、所属部署だけでなく、人事・労務・総務といったバックオフィスの人たちも動きます。
しっかり対応しておきましょう。
円満に退社するためにも、伝えるタイミングや書類などは気を使いましょう。
僕も3回退職をしていますが、会社によっても結構違いますので、そこも含めてご説明します。
目次
本当に退職するかを決める
退職に関しては、なかなかデリケートな問題です。
言い出しておいてやっぱりやめましたというのもあまり好ましくありません。
本当に退職すべきかどうかは考えておきましょう。
退職願や退職届といった書類は、本当に退職したいときに使うものです。
また、迷っているという場合には、上司などに時間を取ってもらって、相談したほうがいいでしょう。
会社の規模にもよりますが、部署内での異動などは比較的手軽にできたり、部署間の異動の仕組みを人事が作っていたりすることもあります。
退職願と退職届の違いと使いみち
退職願と退職届は同じようなものだと思われる方もいるかもしれませんが、明確にこのような違いがあります。
- 退職願…退職したいですという意思を示すもの(法的効力なし)
- 退職届…退職しますという強い意思と通告の意味をもつもの(法的効力あり)
退職願は、その名前のとおりでお願いしますというもので、希望を伝える側面があります。
一方で退職届けは、退職しますからという強い意思を持つものです。
法的な話とモラルの話
法的な話をすると、退職願はあくまでもお願いという側面があるので、法的な効力はそこまで強くないのに対し、退職届はその届けをもって法的にも効力を持つので、撤回しにくいという性質があります。
会社ともめている、話がこじれている場合には、退職届を出して法的に対応するということもありますが、そうでない場合にはコミュニケーションを取ったうえで提出しましょう。
会社には多少なりお世話になっていると思うので、法的に問題にはせずに、円満に退社できるようにしましょう。
実務上の話
僕は今まで3回(大企業×1、ベンチャー×2)退職しましたが、退職願は一度も使ったことがなく、退職届けは2回出しました。
退職願が必要かどうかは会社によるでしょう。
基本的には、上司に「ちょっとご相談したいことがありまして、お時間をいただけますか」などと伝えて、そこで退職意思を伝えます。
そこで話をしたうえで、引き継ぎのスケジュールや具体的な退職日などを決定した後に退職届けを出します。
別途、退職願の用意が必要かも聞いてしまいましょう。
円満に退職する場合には、あくまでも決まった内容を残しておくために退職届けを書くという意識でいいかもしれません。
ちなみに、10人前後の本当に少人数の会社で退職したときは、メールで相談して、そのままメールの内容で退職日を確定したこともあります。
退職願・退職届の提出タイミング、いつまでに出すか
タイミングはだいたい1~2ヶ月だと思っておきましょう。
たとえば、このようなスケジュールになります。
- 8/15 上司に相談開始
- 8/17 引き継ぎスケジュール・退職日の決定
- 8/20 退職届けを提出(9月末まで)
- 8/21 引き継ぎ開始
- 9/10 最終出社(残りは有給消化)
- 9/11 有給消化
- 9/30 退職
最初の相談で、だいたい9月末までに退職して、10月1日から新しい会社で働きたいというような形で相談します。
そこから数日で引き継ぎ日程や相手に関して確認したり、そのまた上司との調整があるのが通常です。
日程が決まった後に退職届けを出します。辞表も同じタイミングで大丈夫です。
だいたい会社で雛形が用意されていたりするので、それを利用します。
法的には2週間でも構わないかもしれませんが、やはり引き継ぎなどのスケジュールを考えると1ヶ月前くらいには最低言ってほしいというものかと思います。
ここでタイミングに関して、いくつか考慮したほうがいい要素があるのでご紹介します。
会社の都合を考慮する
究極的には会社とあなたは関係ありませんが、退職するときにもできる限りお互いがハッピーになるようにしましょう。
就業規則を踏まえる
就業規則にも退職に関して定めているケースがあります。このときは、できる限り守りましょう。
ただ、民法上では2週間前に可能で、就業規則であっても、あまりにも長いものは労働者の権利を奪うものとされ、無効とされた判例はあります。
辞めてほしくない
大企業であったり、あなたが活躍していたりする場合には企業から引き留められたりすることもあるでしょう。
僕自身もほかの部署への異動を提示され、それを受けたこともあります。
一度辞めるといったのに考えを変えるのはよくないという考え方もありますが、個人的にはネガティブに思っていません。
僕のいた大企業では、退職する代わりにポジションが上がったり、ほかの部署へ異動した人はそこそこいましたし、それをそこまでみんなは気にしていませんでした。
引き継ぎの時間
ちょうど上司がやめるタイミングと退職のタイミングが近くなってしまったときに、自分が退職したい日よりも少し遅く退職したこともあります。
引き継ぎも終わっていてとくにやることはなかったのですが、定時で帰る日がそこそこありました。
このような申し出も受ける受けないは自由です。
自分の都合を考慮する
次の会社への入社タイミング
通常、早くて困るということはありませんが、あまりに遅くなることはネガティブになる可能性はあります。
とくに急ぎのポジションで採用しているものの、入社が3ヶ月後となるとなかなか悩ましいでしょう。
また、間を開けてしまうと、社会保険系の手続きが面倒になってしまったりするので、そのような場合には間が開かないように調整したほうがいいでしょう。
有給
普段から定期的に有給を使っている人はいいかもしれませんが、そうでない人は貯まっている人もいるかもしれません。
残っている有給は退職時点でも使うことはできますし、有給消化中にも長期休暇や新たな有給消化を得ることはできます。
自分は最初の退職のときにこのパターンで残っている有給にプラスして、新しい有給が付与されたため、最終出社から退職まで2ヶ月近くあったことがあります。
賞与
ここは、個人の好みですが、一般的には賞与をもらってから退職できたほうがいいでしょう。
これもタイミングに注意が必要で、賞与は在職中の人にしか与えられませんし、退職が決まった人への金額は減額される可能性もあります。
あなたがせっかく成果を出しても賞与をもらう前に退職するとその頑張りの分はもらえないということもあるでしょう。
退職願・退職届の渡し方、提出先
直属の上司や人事に手渡しするのがもっとも一般的です。
ただ、自分がベンチャーで働いているときにはPDFでメール・チャットで送ったこともあります。
これは上司に相談したときに書類の提出方法も確認しておきましょう。
形式を大切だと思うような会社もあれば、デジタルデータの方がそのまま人事や労務に転送できて楽だという会社もあります。
会社ともめているとき・拒否されたとき
基本的に会社に退職届を拒否する権利はありません。あなたが退職届を提出してから2週間後には退職できます。
ただ、どうしようもないくらいもめている・破られて捨てたというような異常な環境の場合には、提出したことを証明できるような状態にしておくことが重要です。
上司の机の上においてカメラで写真を撮るといった方法も考えられますが、一般的なのは内容証明郵便で郵送することです。
相手から受け取っていないと言われたときに、確かに送りましたよと後から証明できるようにするものです。
残念ながら話し合いで解決できない場合にはこうした方法で解決します。
退職願・退職届・辞表の具体的な書き方はこちらの記事を参考にしてください。
退職願・退職届を撤回したい
撤回できるかどうかの論点は法的にはさまざまあります。
- 退職の意思が固いかどうか(お願いか・通知か)
- 会社が受理しているかどうか
- しかるべき権限を持つ人物(人事部長・経営陣など)が受け取ったか
- 会社が承諾の意思表示をしているか
- 錯誤、詐欺、脅迫などがあったかどうか
退職願や退職届をどのような形で提出しているか、それを会社が受け取っているか、その判断をするうえでなにか問題があったかなどです。
実務上はもっとシンプルに、あなたが会社に必要とされているか、誰まで話がいっているか、後任の準備などの手続きが進んでいるかで判断されるでしょう。
上司ともしっかり話したうえで、急に事情が変わったので、撤回したいということであれば、会社側としても迷惑に思うかもしれません。
会社側から別の選択肢を提示されて、やっぱり受けるということであればまた違うでしょう。
自分の場合には、上司に相談した結果、(そのさらに上司に)別部署を提案された受けた経験があるわけですが、書類こそ出していないものの、お願いのような形のものを撤回しているわけです。
そのようなことにならないように十分に考え、話し合うことが重要ですが、起きてしまったらその後のキャリアも考えて判断しましょう。
撤回したことにより、不利になりそうか、そうでもないかなどは会社の雰囲気によっても違うので、考慮に入れましょう。
最後に
ここでは退職願・退職届に関して見てきました。退職でのポイントは書類よりも、しっかり考えることとコミュニケーションを取ることです。
書類は補足するものであってメインではありません。法的な論点もあるのですが、できるだけ法律のお世話にならなくていいように円満に退職しましょう。
ここでは渡し方について触れましたが、書き方や渡し方などに不安がある方はこちらの記事も参考にしてみてください。
また、退職するかどうかを悩んでいる方やすでに次の転職先が決まっていないという方はぜひこちらも参考にしてみてください。
退職や転職は悩んで当たり前です。知識と考え方を学んで、少しでもうまくいくようにしましょう。