PMFよりもっと大事なプレシデント・マーケット・フィット

masayoshi

時代のトレンドに応じて様々なビジネス用語が生まれる。今までもポーターの5 Forcesだったり、PPMだったり、キャズムだったり、ブルーオーシャンだったりと数多くの言葉が生まれた。リーン・スタートアップが発売されて以降、スタートアップに関しても様々な用語が生まれてきた。何よりもスタートアップという言葉自体もだいぶ浸透してきているのではないか。その中で、プロダクト・マーケット・フィットだったり、プロブレム・ソリューション・フィットだったり、フィット系の単語がいくつかあるが、自分がそれ以上に重要だと思うプレシデント・マーケット・フィットを説明したい。

リーン・スタートアップとは

平たく説明すると、小さなサイクルで仮説検証を回してムダなく事業を立ち上げていく事業の立ち上げ方法だ。誰が欲しがるかわからないものを大量の予算と工数をかけてやる代わりに、顧客に切実な課題があるのか、その解決策によって課題を解決できるか、解決できたときに十分にマネタイズができるのかといった一つ一つを必要最小限の手間・予算をもって検証していく。由来はトヨタのリーン生産方式だ。

プロブレム・ソリューション・フィット

事業立ち上げの肝である顧客の課題とその最適な解決策を検討するステップ。例えば「仕事が忙しくて宅配便が受け取れない」という課題に対して、「宅配時間外に受け取れるようなサービスを提供する」といった解決方法を提供するようなものだ。宅配時間外での配達を可能にするといった方法以外にも簡単に宅配ボックスを提供できるようにする、自宅以外で受け取れるようにするといった様々な解決策が考えられるが、その中から最適な方法を選び出す。主に顧客に対してのインタビューによって行われる。当初の仮説が当たっていることはほとんどないので、多くの場合にここで顧客の本当の課題(それが無いことも多いののだが)に触れることになる。

プロダクト・マーケット・フィット

次に、その顧客の課題と解決策に対して適切な市場を見つけるというステップ。これを達成すると、グロースまでの準備ができたことになり、このタイミングで投資を受ける会社が多い。MVPと呼ばれるような仮説検証ができるような最低機能を持ったプロダクトを作ってヒアリングをしたり、簡単なウェブサービスであれば、ベータ版をローンチして、自分たちのプロダクトを実際に使う人がいるのかをモニタリングしたりする。この段階を乗り越えられないことも非常に多く、乗り越えた会社もピボットを繰り返し、やっとたどり着くことも多い。

プレシデント・マーケット・フィット

知られていない話

起業してすぐのころ、僕は様々なVCやエンジェルの方に会って話を聞いた。そこで、盛んに言われていたことが2つあって、1つはマーケット選定の重要性。もう1つがマーケットと起業家(チーム)のマッチ。マーケットは当たり前だが、伸びている方がいいし、競合が少ない方がいいし、まだ勝っているプレーヤーが無いところがいい。この市場選定を間違えると、どんなに頑張っても事業は立ち上がらず、逆に適切な市場を選べば少しくらい失敗しても事業は立ち上がる。こちらの重要性は認識されているし、プロダクト・マーケット・フィットという言葉があるように比較的気づきやすい。

社長とのフィット

もう1つに関しては市場選定ほど指摘されていないように思う。社長とマーケットが合っているかどうかが非常に重要である。これは社長の能力・過去の経験・人脈が該当の市場に応用できるということだけではない。社長のビジョン、やりたいこと、結果を出すための時間軸、市場におけるKSF、技術の重要性、マネジメントの高度さなどのスキル面だけでなく、社長の志・性格・生き方などマインド面においてもその事業に合っているかということが重要だということだ。つまり、3年でExitして10億前後をもって引退したい起業家が必ず立ち上がるが5年~10年かかる市場で事業を立ち上げたり、マイペースに事業を運営したい起業家が2~3年で勝敗の分かれる資本勝負の市場で事業を立ち上げたりするとなかなか厳しい。ただ、当事者になってみるとそこまで意識することが少ない。少し調べると、競合が見つかる中でまれに良さそうなひじネスチャンスを見つけると、そういったことまで頭が回らなくなることはよくある。ピボット中だったり、資金が無くなりそうであればなおさらそうだ。そこで、略語がプロダクト・マーケット・フィットと同じになってしまうのだが、プレシデント・マーケット・フィットというような言葉(アントレプレナーとかファウンダーでも良いが)を作っておけば忘れないで済むのではないかと思った話。

 

Mohi

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