日本の半分の人が転職を経験するといわれています。
それでも長い期間働いた方がいいという文化がまだ根強く、会社を辞めることはネガティブに見られることが多いです。
自分は3回会社を辞めていますし、ベンチャーは人の入れ替わりが早いために、たくさんの退職を見てきました。
逃げるように退職した人もいますし、好印象のまま辞めていった人もいます。
ここでは、その経験を踏まえながらどうすれば円満に会社を辞められるかということを解説します。
目次
辞める前に考えてほしいこと
いきなりやめないこと
たまにいるのですが、ほとんどバックレのような形で退職してしまう人がいます。
ほかにも体調不良などから徐々にフェードアウトで退職することもあります。
いきなりやめるのは、評判という面でも、あなた自身のリスクという面でもよくありません。
唯一の例外は、職場でのパワハラがあまりにも酷いなどで、あなたが肉体的・精神的に耐えられなさそうなときは、逃げてもOKです。
辞めるベストなタイミングを知る
そもそも会社を辞めるべきかどうかも考えましょう。
転職をしたことがない人から誤ったアドバイスを受けたり、悩んでいて年齢が上がってしまったりする失敗は多いです。
原則としては早いほうがいいですが、状況によっては少し時間をおいたほうがいい場合もあります。
詳しくはこちらの記事でも解説しているので、興味があればご覧ください。
辞める理由を整理しておく
もし冷静に考えられる状態であれば、辞める理由を整理しましょう。
仕事の中でも施策などの振り返りを行うと思いますが、キャリアにおいても振り返りのプロセスは重要です。
また、以下の4つの理由から辞めたいと思った理由を整理することは有効です。
それぞれ簡単に補足します。
- 理由次第では辞めないで済むかもしれない
- 今後、同じような理由で辞めることを避けられる
- 辞める理由は社内で上司や人事などに聞かれる
- 転職するときの面接でも退職理由に関してはほぼ必ず聞かれる
辞めないで済むかもしれない
退職を考える理由次第では、辞めないほうがいいかもしれません。
一時的な問題だったり、時間経過やあなたのアクション次第で変えられるかもしれません。
日本では転職回数が多い人や短期離職の人には非常に厳しくなっています。
このような背景もあり、不要な退職を増やさないことがキャリアの選択肢を増やすためには有効です。
突発的な理由
- よくよく考えてみると、感情的になっていただけ
- うまくいかないことが重なっただけ
一時的な理由
- そもそも会社自体には不満がないし、3ヶ月後にはローテーションの異動がある
- プロジェクトが忙しいが、1ヶ月後には終わる
あなたが大企業にいる場合には、上司や部署は意外と変えられる可能性があります。
特定の上司や部署のみで問題が発生している場合には、こうした選択肢も考慮に入れたほうがいいでしょう。
あなたが成果を出しているほど無理は通りやすいです。
そうでない場合でも上司はやめられると評価が下がることもあり、基本的には協力的なことも多いものです。
今後、同じような失敗を避けられる
一度転職すると転職に対するハードルが下がるため、繰り返してしまうリスクがあります。
このようなことを避けるために、分析をしておきましょう。
一般的によくある不満は以下のようなものです。
- 人間関係
- 体調・うつ
- 社風・働き方
- 仕事内容
- 人事制度・評価
- 給料・待遇
とくに最初の転職であれば、あなたが今抱えている不満は非常に貴重な情報です。
あなたにとって、仕事では何が重要で何が重要でないかを判断するのに役立ちます。
たとえば、人間関係があまりにも希薄なことが不安な場合には、次の会社は距離感が近いところを探したほうがいいでしょう。
面接の中で質問したり、口コミサイトをチェックしたりして確認できます。
最初の転職では心配いらないかもしれませんが、転職を何回か繰り返してしまうと、目に見えて不利になります。
20代では2回まで、30代では4回までが目安ですが、これよりも多くなると選択肢が大きく狭まります。
無駄に転職回数を増やさないためにも重要です。
辞める理由を社内外で聞かれる
あなたが本音で対応するかどうかは別としても、辞める理由は社内外でよく聞かれます。
思っていることをそのまま話せばいいわけではありませんが、明らかに本音ではないことを話すのもよくありません。
伝え方を工夫するにも、実際の原因がわかっていると考えるのが楽になります。
いずれにせよ、社内で説明するときか面接で説明するときに理由が必要となります。
どうせなら早めに考えておきましょう。
個人的に使いやすく、おすすめの理由がこちらです。
- ほかにやりたい仕事がある
- スキルアップ・キャリアアップをしたい
- 家庭の事情
- 体調の問題
- 働き方を変えたい
ほかの記事でも詳しく説明しています。
辞める手順を理解する
会社を辞めたことがない人はまずは退職までのプロセスを抑えましょう。
- 転職活動をする(退職4~5ヶ月前)
- 内定をもらう(退職2~3ヶ月前)
- 上司への相談する(退職1~2ヶ月前)
- 関係各所と調整する
- 退職日・最終出社日が確定
- 退職届・退職願などの書類対応と引き継ぎ
- 挨拶回り
- 退職
たくさんあるように見えるかもしれませんが、内定をもらって、上司に相談すれば、後は順番に進んでいきます。
ここでのポイントは、転職活動を在職中にすること、上司への相談することの2つです。
転職活動をする
転職活動を退職前にする人と、退職後にする人がいます。
結論からいうと、在職中の方がいいといわれています。
その一番の理由は、常に転職をしないという選択肢を持つことができるからです。
新卒の就職活動と違い、転職活動には時間制限がありません。
この利点を存分に活かせるのが在職しながらの転職活動です。
離職してからの場合には、長引くにつれてお金や生活の堕落などの問題が発生しやすいです。
もし「辞めてから転職したい」と考えている人はこちらの記事も読んでみてください。
自分の実体験を踏まえて、辞めてから転職と辞める前の転職について解説しています。
上司に相談する
もう1つのポイントが、上司に相談することです。
ここさえうまくいけば、書類や引き継ぎではあまり問題が起きることはありません。
給料や他部署への異動の打診も含めた退職交渉や退職のスケジュールなどがだいたい論点になります。
退職の伝え方の基本は以下の4つです。
- 上司に
- 早めのタイミングで
- ほかの人がいないところで
- きっぱりと伝えること
簡単に補足していきます。
「上司」に伝える
基本的には上司に最初に伝えます。
上司からその上司に伝えられたり、人事に連絡されたりという流れになります。
人事にいきなり伝えたり、上司の上司に伝えたりするのは避けましょう。
上司との関係性が悪い場合でも、本人に伝えるのが基本ですが、よほどこじれているような場合には人事などにも相談しましょう。
「早めに、忙しくないとき」に伝える
あまりに直前に伝えられると会社側も困ります。
一般的には最短でも1ヶ月前、可能なら2ヶ月前くらいには伝えましょう。
法的には、退職の意志を伝えてから2週間で退職できますが、円満に退職する場合には相手のことも考えましょう。
タイミングに決まったルールはありませんが、忙しくないときにしましょう。
業務が落ち着いたタイミングでもいいですし、業務が終わった後でも構いません。
個人的にはアポを取っておくのが楽だと思います。
自分の場合にはメールや社内チャットでMTGをお願いして伝えることが多いです。
「ちょっとご相談したいことがありまして」、「ちょっとお時間いただけますか」といって時間を取っておきます。
直接、席に行ったり、声をかけたりしてもいいですが、退職することが周りに伝わると面倒なので、自然に声をかけるようにしましょう。
「ほかの人がいないところ」で伝える
会議室など、ほかの人がいない空間で伝えます。
MTGを入れておくのが楽ですが、席に行って「ちょっといいですか」と伝えて、会議室にいく形でも大丈夫です。
ほかの人に伝わると動揺が広がったり、業務に支障が出たりするので、伝えないようにしましょう。
退職日が決まる中で、人事などに伝わったり、引き継ぎをして周りの人に伝わったりして徐々に近いところから伝わっていくものです。
きっぱりでも柔軟に伝える
伝え方に関しては、意思をしっかり伝えることと、相手の都合を考えることの2つが重要です。
退職理由は、法的には説明する必要はありませんが、円満退職には納得感があるものを用意しておくとスムーズに進みます。
介護、結婚、出産などであれば、疑問の余地はありませんが、転職する場合には、「もっと〇〇のスキルをつけたい」、「〇〇がしたい」といった内容で大丈夫です。
面接のときの志望動機のように、説得力があるものにしましょう。
「大変お世話になりましたが、退職をするつもりです」、「さらに〇〇の分野に注力するつもりです」とシンプルに伝えましょう。
引き留めは柔軟でもOK
自分の場合には、退職のときに、別部署へ異動提案を受け入れたり、退職スケジュールを1ヶ月ほどずらしたりしたこともあります。
一度、退職を表明すると、社内的にはいろいろとやりづらく、避けたほうがいいと言われることもあります。
ただ、大企業だったので、部署が変わるとフロアも変わりますし、IT系だったこともあるのか、反逆者みたいな扱いはありませんでした。
退職を強く決意しているのであれば、それを貫き、毅然と対応し、粛々と引き継ぎを準備しましょう。
スムーズに辞めるうえでのポイント
自分の三度の退職経験を踏まえて、辞めやすいポイントをいくつかご紹介します。
辞める雰囲気を出しておく
これは戦略的にやるというよりは、転職活動をしてから退職するようなタイプの人の場合には、なんとなく周りに伝わります。
仕事熱心だった人が最近、帰るのが早くなったり、それまで有給を取ったことがない人がちょくちょく有給を取るようになったりというのでわかります。
辞める雰囲気ができていると、引き留められることも減りますし、スムーズに退職しやすくなるでしょう。
準備をしておく
転職先を決めておくこともその1つですが、引き継ぎの準備やスケジュールを立てておくのもいいです。
あまりにも入念な場合にはネガティブになる可能性もありますが、しっかり引き継ぎができないのもアウトです。
たとえば1ヶ月で退職したい場合には、有給などを踏まえて、2週間で引き継ぎが終わらせられるということを説明できると楽でしょう。
転職理由
すべての場面で本音を話す必要はありません。
会社側が原因となる場合には、退職を止めるための対案が出される可能性もありますが、個人的な理由であれば、納得されやすいでしょう。
退職にあたっては、本音と建前の間を柔軟に調整するような形で、うまく理由を伝えられると円滑に進みます。
人ともめない
上記のものとも関連しますが、無駄にもめないようにしましょう。
「どうせ辞めるからいいや」となると、のちのちトラブルに発展する可能性があります。
よくあるトラブルへの対処
最後に起きがちなトラブルについても見ていきます。
仕事辞める勇気が出ない
トラブルではありませんが、実は結構よくあります。
転職活動を始める前、内定が出てから、上司に相談するときなどさまざまなタイミングで起きます。
とくに初回は不安に思うのは仕方がありません。
実はあなたが問題だと思っていることはたいした問題ではなかったりします。
- あなたが抜けてもどうにかなる
- 今、決断をしないことが将来のリスクになりうる
- 転職活動をしたうえで、転職をしないという選択肢が常にある
- 転職の失敗くらいでは、あなたの人生にはさほど影響はない
それでも心配という方には別の記事でも転職の不安に関しては扱っています。
ぜひこちらも参考にしてみてください。
仕事を辞めさせてくれない・辞められない
あなたが正社員やアルバイトの場合には、会社を辞められないということは基本的にありません。
あなたが退職したいタイミングで、申し出てそこから2週間後に退職できます。
退職届が受け取ってもらえない場合には、郵便で退職届を内容証明・配達証明などをつけて送ることで証明が可能となります。
ただ、あなたが契約社員の場合には事情が異なります。
雇用契約書にもよりますが、契約期間が終わるまでは一方的にやめることは難しいです。
基本的にはまず相談をしましょう。直属の上司が難しい場合には、そのさらに上の上司や人事と話すことで解決することもあります。
有給を取らせてもらえない・賞与がもらえない
退職時の有給消化は法的にも認められています。
こちらも難しい場合には、退職届に有給を踏まえたうえでの退職日を記載すれば大丈夫です。
賞与も在籍中であればもらえますが、一定の減額は認められる可能性もあります。
ただ、大幅なものの場合には、あらかじめ就業規則などで定めておく必要があります。
こちらはもめたら、弁護士や労働基準監督署に相談する必要があるでしょう。
さらに知っておきたいこと
今回は仕事・会社を辞める方法について見てきました。
会社を辞める手続きや進め方はデリケートなこともあり、なかなか表に出ません。
そう何度も経験しない人も多いため、不安になる気持ちも非常にわかります。
こうした記事を見ていただきながら、進め方を知ってもらい、円満に退社してもらえればと思います。
転職の進め方なども別記事で紹介しています。こちらもぜひ見てみてください。
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